金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいて、金融機関に対して監督・指導を行っています。2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため「経営者保証改革プログラム」(https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html)を公表しました。
その流れを受けて金融庁は2023年4月から「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改定し、各金融機関が「融資の際、経営者保証を徴求しない流れ」を作ろうとしています。この流れにうまく乗ることができれば、新規融資の際に経営者保証をしなくてすむようになります。また、現在差し入れている経営者保証の解除も可能になります。
1.経営者保証を要求する場合、金融機関には説明義務が生じます
2023年4月から、融資実行時に「経営者保証」を徴求する場合、金融機関は
以下の2点について説明する義務が発生します。
① どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか
② どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか
2.経営者保証が必要だと言われたら説明を求めることができるようになります
融資の際に金融機関から「経営者保証」を求められたにもかかわらず、「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか」の説明がない場合は、説明を求めることができます。同時に、「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」についての説明を求めることができるようになるので、その説明を明確に聞くことができれば、金融機関が指摘する点を改善することができれば「経営者保証の解除」を求めることができるようになります。
3.説明を求めても説明してもらえない場合の対処法
2023年4月から金融庁には「経営者保証専用窓口」が設置されます。金融機関から「経営者保証徴求の際の説明がない」場合、 「経営者保証専用窓口」に相談すると、金融庁から当該金融機関に対し、指導が入ることになります。
4.いきなり「経営者保証相談窓口」に相談することは避けましょう
ただ、融資実行の際に担当者から経営者保証に関する相談がない場合、いきなり「経営者保証相談窓口」に駆け込むのは避けましょう。そうしてしまうと、支店や金融機関の立場がなくなってしまいます。
まずは、支店長や貸付の責任者に相談してください。担当者の知識不足のために説明がないことは十分考えられます。支店長や貸付の責任者なら、説明義務についてよく理解しているので、きちんと説明してくれるでしょう。それでも説明がない場合は、本部の「お客様相談窓口」に相談し、それでも説明がない場合に限り、「経営者保証相談窓口」に相談するという手順をとってください。いらぬトラブルを避けることができます。