創業したいと考えたときにしておくべき9つのこと

将来を見通す

「ビジネスを始めてみよう!」と思って一念発起、とりあえず創業したものの、やってみると「これ準備しておくべきだったなぁ」と思うことばかりで、なかなか事業を軌道に乗せることができない。。ということは、よくある話です。

では、創業準備は何から始めたらいいのだろうか?
いま、別の本業に従事している方でもその仕事を続けながら、並行してできることは意外とたくさんあります。

今回は、創業準備でやるべきことを9つのポイントにまとめてを解説していきたいと思います。

1.創業日を決める

一番に最初にするべきことは、「いつ創業するのか」を決めることです。仮でもいいです。具体的な日を決めてください。そうしないと、創業はどんどん先送りになります。創業日を具体的に決めることで、「今、何をしておかなくてはならないのか」を強く認識することができます。創業準備に充てられる時間は、そう多くありません。創業日から逆算して、「どのタイミングで、何をすべきか」をきちんと把握しておく必要があります。

2.家族の理解を得る

日本では、まだ「創業する」=「危ないこと」という印象があり、客観的評価があまり高くありません。例えば、関係性の薄い友人ならば「会社を辞めて創業しようと思っている」と言った場合でも、「それはいいね」と肯定的に答えてくれるかもしれません。しかし、身内が「創業したい」と言ってきた場合、ほとんどの方が、「大丈夫なの?そんな危ないことはやめておきなさい。人間、安定が一番」と言って反対されたりします。身内に反対されているような状態では、創業はほぼ失敗してしまいます。まずは身内の理解を得て、味方につけましょう。味方になってくれれば、最も心強い応援団となってくれるでしょう。

3.自己資金を貯める

創業に必要な資金を全部自分で準備できる人は、そう多くはいません。足りない分は、日本政策金融公庫や、銀行・信用金庫・信用組合といった金融機関から借りる必要があります。創業資金を借りる上で重要なのが「自己資金の額」。自己資金が多ければ金融機関から融資してもらいやすくなります。また、自己資金が多ければ多いほど借りられる金額も多くなります。まずは、創業に必要な資金の3割程度は貯めておきましょう。
また、最初から利益を稼ぐのは難しいことは往々にしてあります。一方で、現実問題として生活もしていかなければなりませんから、最低1年程度の生活費も貯めておくことをお勧めします。ここは時間がかかりますから、早めに手をつけてください。

4. 経営に関する知識・ノウハウを学ぶ

「創業した事業者の3割は1年以内に廃業し、5割は3年以内に廃業する」と、よく言われます。実際には、そこまで廃業率は高くないと思われますが、かなりの割合で廃業する事業者がいるのも事実です。「経営に関する知識」が乏しいため、間違った経営を続けてしまった結果、資金が枯渇して廃業するというパターンに陥ってしまうこともあります。あらかじめ経営に関する知識を持っておいて、うまくいかないときに何をすればよいのか事前に準備しておきましょう。経営に関する知識のうち、具体的には、法務・税務・財務・労務等に関する知識を学ぶことが大事です。

5. 創業する業種に関する経験を積む

金融機関が創業資金を貸す上で重視しているものの一つが、「創業する業種に関する経験」です。経験がない業種で創業しようとする場合、かなり高い確率で断られます。「経験のない業種で創業した事業主が廃業する確率が高い」というデータを金融機関が持っているからです。金融機関は6年程度の経験が望ましいと言いますが、業種にもよります。3年ぐらいの経験があれば、金融機関にその経験を評価してもらうことができます。

6. 人脈を構築する

創業を成功するために作っておくべきなのは、「人脈」。「顧客となり得る人脈」や「顧客を紹介してくれる人脈」「アドバイスを与えてくれる専門家人脈や同業の先輩人脈」「将来、事業パートナーとなりそうな人脈」などをあらかじめ構築しておくことで、いざというとき、その人脈が生きてきます。特に、積極的に見込み顧客や専門家等を紹介してくれそうな「ハブ人脈」を持っている人との関係構築をするのがおすすめです。そういった人たちと、ずっと関係性をつないでおく必要があります。まずは、フェイスブックなどSNSでつながっておくこと。また、自分のブログやメールマガジンなどによる情報発信もお勧めします。でも本当にいいのは、ときどきは実際に会って、リアルな交流を深めていくことです。

7. 創業する業種に関する調査をする

創業に関する業種の成功事例・失敗事例をためておきましょう。自身の創業を成功させるためには、「真似すればプラスになること」「絶対にしてはいけないこと」を知っておく必要があるからです。
そのためには、創業する業種と同業者の視察を積極的に行うこと。視察をする際に気をつけておきたいのは、「提供側としての視点」と「顧客としての視点」、その両方を持って観察することです。たとえば「同業者の商品を買ってみる」「サービスを利用してみる」ことにより、顧客としての気づきが得られますし、そこにプラスアルファするアイデアが見つかることもしばしばです。事前調査をすればするほど成功する確率は高まりますので、創業するまでに30社程度は調査しておいてください。その調査レポートを出すことで、金融機関からの評価は格段に高くなります。「ここまで調査するなんて、この創業者、本気だな」と思われて、融資してもらいやすくなるからです。

8. 事業計画をつくる

「事業計画書」も、金融機関が創業資金を貸す上で重視しているものの一つです。多少、自己資金が少なくても、その業種に関する経験が乏しくても、しっかりした事業計画書を作成しておくと、融資してもらえたという事例はたくさんあります。創業を成功させるための事業計画書づくりのコツは、「何度も書き直すこと」。最初は、粗い事業計画書でも構いません。それを創業日までに、徹底的にブラッシュアップしていけばいいのです。早い段階で事業計画書づくりに着手しておくと、創業に関するモチベーションも日々高まってくるでしょうし、毎日の過ごし方も変わってきます。

9. クレジットカードの作成

創業したばかりのときは、クレジットカードの審査に通りにくいものです。すでにクレジットカードを持っている方でも、プライベート用のクレジットカードと別にビジネス用のクレジットカードを独立する前に作成しておくことをお勧めします。いまあるクレジットカードを使えばいいのではないか?と思われる方もいますが、プライベート用と事業用の経費支払いを明細見ながら、分別する必要があり、無駄な作業時間が生まれます。

 

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

2023年1月10日から新しい信用保証制度(コロナ借換保証)が開始されました。新型コロナウイルス感染症の影響で債務増大した中小企業の収益力改善を支援するために、借換え需要や新たな資金需要にも対応するためのものです。

一定の要件を満たした中小企業が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借換時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

1.コロナ借換保証制度の概要

  •  保証限度額 : 1億円
  •  保証期間   : 10年以内
  •  据置期間   : 5年以内
  •  金利   : 金融機関所定
  •  保証料   : 0.2%等(補助前は0.85%)
  •  要件

⮚「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」もしくは「セーフティネット4号または5号の認定取得」

⮚「金融機関による伴走支援」

⮚「経営行動計画書の作成」

2.ここが変わった!

以前までの「伴走支援型特別保証制度」においては、「前年同月比売上」が15%以上減少という利用要件が、今回は「5%以上減少」と緩和されています。さらには、利益率が5%以上低下している場合にも適用が可能です。売上は増加しても、利益が減少している事業者も利用しやすくなったのは有難い緩和です。利益率の低下は、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」のどちらかが要件をクリアしていればOKです。

3.注意点:保証料は「0.2%」ではない

保証料率0.2%というのは非常に低い保証料率です。しかし、よく見ると「0.2%」ではなく「0.2%等」と「等」がついているのです。これは、コロナ借換保証の保証料が「0.2%」ではないことを意味します。

コロナ借換保証の要件として、「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」と「セーフティネット4号または5号の認定取得」とあります。この場合は、いずれも保証料は0.2%です。「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」で「コロナ借換保証」を利用する場合は、保証料は0.2%ではなく、0.2%~1.15%となりますのでご注意ください。

「コロナ借換保証制度」は「民間金融機関によるゼロゼロ融資」の借り換えに利用出来ます。返済に悩んでいる方は、借入を行った銀行または信用保証協会に相談に行かれることをお勧めします。

決算書の内容が悪くても、融資をしてもらう中小企業になる方法

「事業が軌道に乗り始めているが、まだ赤字が続いている。」
「社長自らの会社へ貸付を行っており、まだ債務超過の超過になっている。」

そのような、一見、決算書の″見た目″が悪いからといって、融資は難しいのでは?と諦めていないでしょうか。
確かに決算書は融資審査において最重要項目の1つではありますが、会社の稼ぐ力は決算書だけでは、推し量れない部分があります。

今回は決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきたいと思います。

金融検査マニュアル廃止

20 年前に、不良債権問題が深刻化し、国内大手金融機関の破綻が相次いだことから、金融庁はその前身である金融監督庁として発足しました。10 年前には、サブプライムローン問題を発端として、アメリカ大手投資銀行が破綻し、これに連鎖してグローバルな金融危機が発生しました。

それらの危機を乗り越えるために、金融庁は金融機関に対し、いろいろな指導・監督を行ってきました。

そのために、金融機関を監督・指導していくためのツールとして、金融検査マニュアルを使用していました。

金融機関は、金融検査マニュアルに従って、取引先顧客の格付けを行い、格付けの低いところには、融資ができませんでした。なので、以前は、財務内容が悪く、しっかりした担保や保証人がない企業は、なかなか融資をしてもらえなかったのです。その金融検査マニュアルが、廃止になり、金融庁の指導方針が大きく変わりました。

金融機関の融資方針はどう変わるか

金融検査マニュアルが廃止されると、金融機関は格付けに基づく融資(決算書や担保・保証人を重視した融資)を行うのではなく、その企業の事業性や将来性、成長可能性を重視した事業性評価融資による、融資を積極的に取り組むようになります。

自分たちの企業の事業性や、将来性、成長可能性を金融機関に把握してもらえれば、決算書の内容が悪くても、融資をしてもらいやすくなります。

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになる方法

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになるには、自分たちがしなければならないことがあります。

1.事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

2.事業計画書を作成しておくこと

3.金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、どのような融資方針でいるのか把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。

“事業性評価融資”に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

“事業性評価融資”とは、「財務内容や担保・保証人に過度に依存せず、取引先企業の「事業性」や「将来性」、「成長可能性」を評価した融資」のことを言います。たとえ、財務内容が悪くても、自社の将来性や成長可能性があるのであれば、事業性評価融資をしてもらえるようになります。

ただし、まだ、事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関は、そう多くはありません。事業性評価融資をしてもらうためには、積極的に取り組んでいる金融機関との取引は必要不可欠です。

事業計画書を作成しておくこと

金融機関が事業性評価融資を行うためには、金融機関自体が取引先企業の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を把握しておく必要があります。その為に、金融機関の担当者は、取引先企業に対して、何十時間ものヒアリングを行う必要がありますが、普段でも、仕事に追いまくられている担当者には、そんな時間はありません。少しでも、担当者の負担を軽減してあげることができれば、事業性評価融資を行ってもらえる可能性は高くなります。

自社の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を伝えるのにうってつけなのが「事業計画書」です。知り合いの士業やコンサルタントに協力してもらい、「事業計画書」を作成しておきましょう。

 金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、財務内容のあまり良くない取引先の事業性評価融資を行う際に、とても重要になるのが、担当者や貸付責任者、支店長の「熱意」です。

「この会社は、何としてでも応援したい」と思ってもらえれば、熱心に取り組んでもらえることができます。まずは、金融機関との良好な関係を構築するようにしておきましょう。

 

今回は、決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきました。しっかりした準備をして、資金調達力を高め、安定した成長基盤を作っていきましょう。

今、どれぐらいの金額を金融機関から借りることができるのか?

中小企業の経営を行っていく上で、非常に重要なテーマである「融資」。
しかし、足りないときに、銀行に行っても簡単に貸してくれません。
日ごろから、「どれぐらいの金額を金融機関から借りるのか?」を知っておくのが肝要です。

今回は、「金融機関が考える借入限度額の目安」の計算方法についてお伝えします。

1償還年数から計算する

計算式 : (税引後当期純利益 + 減価償却費) × 10

償還年数とは、債務をすべて返済するのに必要な年数で、債務を年間返済可能額(税引後当期純利益+減価償却費)で割ることで計算できます。

税引後当期純利益とは、損益計算書ですべての収益から費用や税金を控除して計算される最終的な儲けの部分のことです。

担保や保証人の有無、取引年数、取引先との関係性を考慮しない場合、金融機関はこの1年分の儲けを10年間続けて返済していく金額を貸出可能金額と考えるわけですね。

通常、償還年数の適正な水準は5年以内ですが、一般的に融資限度額を計算する場合は、償還年数を10年で考えます。

2月商や年商(月商倍率)から計算する

計算式 : 毎月の売上(年間売上÷12) × 1~6ヶ月

金融機関の人間が、感覚的に用いている「借入限度額の目安」を計算するときに、よく使われる方法です。

借入限度額を月商倍率で計算する場合は、業種業態によって範囲が広がるが、だいたい、月商の1~6ヵ月を目安としています。

季節連動があり、毎月の売上高大きく変動する業種・業態もあります。その場合は、年間売上高から平均月商を計算します。

営業利益率や経常利益率の高い業種の場合は、長い期間(5~6ヶ月)で計算しますし、低い業種の場合は、短い期間(1~2ヶ月)で計算します。

3経常利益から計算する

計算式 : 過去3年分の経常利益の平均 × 50% × 7

融資に対して、厳しめの対応をする金融機関の場合、こちらの計算方法を使って、融資限度額の目安を計算します。

経常利益とは、その会社の主たるビジネスの儲け(=営業利益)に、毎年生じる金融取引(利息等)や賃貸取引等の副業的なビジネスの部分の儲けを加減することで計算されます。

この「経常利益の50%」というのは、さらに税金支払いを考慮した金額であり、「税引後当期純利益」に近い数字になっています。上記「1」や「2」の計算方法に比べて、少なめの数字になります。

経常利益が右肩上がりになっている場合は、後ろの倍率が7倍より増えてきますし、右肩下がりになっている場合は、7倍より少なくなります。

4.まとめ

こういった金融機関の考え方を、ある程度把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。また、上記の計算から求められる資金調達力を高めていくことが目標になります。

 

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