25万円の補助金を受けながら専門家と一緒に事業計画を作成する方法【早期経営改善計画策定支援事業】

早期経営改善計画は、事業計画書(経営改善計画書)作成を支援する専門家報酬の3分の2(上限25万円)を支援してもらえる補助金です。

資金繰りが苦しくなって追加で融資を受けようと思っても、コロナ融資の時には比較的簡単に融資できたけれども、いまとなっては公庫や信用保証協会も簡単には応じてくれません。そういったとき、経営改善のための事業計画書(経営改善計画書)を提出する必要があります。

ところが、事業運営で忙しい経営者であればあるほど、経営改善計画書を自分ひとりで作成することは難しく、経営改善計画書に記載する内容や、かならず添付すべき「資金繰り計画表」を作り上げるのはなかなか難しいでしょう。

つまり、金融機関が求める経営改善計画書の作成には、専門家によるサポートが必須といえます。しかしながら、資金繰りに困っている経営者にとって、専門家へ支払う資金を捻出することも、それは簡単ではありません。そこで利用するのが、この補助金になります。

今回は、この早期経営改善計画について、利用シーンや流れについてまとめていきたいと思います。

1.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用が考えられる事業者

●コロナの影響などで資金繰りが不安定になっている事業者
●売上が減少し、先行きが分からず不安がある事業者
●自社の状況を客観的に把握し、今後のアクションプランを整理したい事業者
●専門家のサポートを受けたいが、いきなり高額の費用は払えないため、まずは1度お試しで計画を作りたいと考えている事業者
2度目のコロナ融資を申請しようとしている事業者
既存債務の返済ができないため、リスケ(返済額減額)を希望している事業者

2.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用ができない事業者

過去に中小企業活性化協議会事業又は経営改善計画策定支援若しくは早期経営改
善計画策定支援を利用した事業者の方は対象外なので、注意が必要です。

ただし、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等の影響で業況が悪化した場合であれば、過去に経営改善計画策定支援や早期経営改善計画策定支援を利用している場合であっても、2023 年度中は2回目の申請がOKとなりました。

3.受けられる補助金

(1)経営改善計画策定支援費用(補助率2/3、上限15万円)
(2)伴走支援費用(期中)(補助率2/3、上限5万円)
(3)伴走支援費用(期末)(補助率2/3、上限5万円)

「伴走支援費用」とは、経営作成後の計画進捗状況確認のフォローアップを行うための費用「モニタリング費用」のことです。現在の制度では、「計画策定1年後に計画進捗状況確認のフォローアップ」を期末に行う際の補助金に加え、事業者が希望する場合、期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」を行う際の補助金も支給されます。期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」については1回限りではなく、複数回利用できることで、よりきめ細かいフォローアップをしてもらえる補助金になっています。

4.手続きの流れ


引用元:東京都中小企業活性化協議会HP

早期経営改善計画の流れを次の7つのステップで説明します。

【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】

①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援

⑦モニタリング

①相談・事前相談書の受け取り

まず、経営者と認定支援機関である税理士などの外部専門家が早期経営改善計画の適用を決めた後に、金融機関に対し、事前相談をします。

金融機関からは「事前に相談を受けた」ことを明記した「事前相談書」を入手します。

「事前相談書」は自分で作って金融機関に持参しても問題ありません。スムーズに早期経営改善計画のスタートができるように自分で作成して持ち込みましょう。

②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り

税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業利用申請書(早期経営改善計画)」を、経営改善支援センターに提出します。

また①で入手した「事前相談書」もあわせて提出します。

③計画策定を支援

外部専門家は中小企業・小規模事業者の早期経営改善計画書策定に向けた支援を実施します。

その際に作成する成果物は以下のものになります。

【早期経営改善計画書】
☑ ビジネスモデル俯瞰図
☑ 資金実績・計画表
☑ 損益計画
☑ アクションプラン

④計画提出・受取書等の受け取り

外部専門家と中小企業・小規模事業者が作成した早期経営改善計画を金融機関に提出します。

その際、金融機関から計画を受け取ったことを明記した「受取書」を取得します。

⑤費用の1/3を支払

中小企業・小規模事業者は、早期経営改善計画の策定費用の1/3を専門家報酬として認定支援機関に支払います。

⑥費用の2/3を支援

経営改善支援センターに対し、税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業費用支払申請書(早期経営改善計画)」を提出します。

その際、④で取得した「受取書」を添付します。

⑦モニタリング

外部専門家は、経営改善計画の記載に基づき事業者のモニタリングを実施し、「モニタリング報告書」を経営改善計画支援センターに提出します。

 

5.注意点

「早期経営改善計画策定支援事業」における補助金は、「認定支援機関」が支援することでもらえる補助金です。「認定支援機関」でない士業・コンサルタントによる支援では、残念ながら補助金対象になりませんのでご注意ください。

弊所は認定支援機関ですので、こちらの早期経営改善計画のお手伝いをすることが可能です。

融資を引き出すためには、「金融機関が求める情報」が必要十分に記載されている事業計画書を作成することが必要ですので、制度利用をご検討されている方はご相談ください。

 

金融機関が不動産融資を行う場合のポイント

事業に関するご相談だけではなく、不動産に関するご相談もお受けすることがあります。経営者の方から「個人財産で不動産投資をしたいのだけど、どうでしょうか?銀行は融資してくれますか?」といったようなご相談です。

事業融資の場合と不動産向け融資の場合は、金融機関の融資のポイントが異なります。今回は、金融機関がどのようなポイントで不動産融資審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえていけば、どのような準備資料を作っておけばいいのかがわかるわけです。

個人向けの不動産融資の種類と注意点

個人の方が行う不動産融資案件の種類とその時の留意点は以下の通りです。

  1. アパート・マンションへの融資
    資産運用の一環として、賃料収入を得るためにアパートやマンションを購入し、賃貸物件として運用するケースです。この場合、必要資金の7割程度しか融資してくれることがないと知っていてください。通常、自己資金が3割必要です。借主の資産内容や取引内容によって前後はしますが、必要資金を 100%融資してもらうことはあり得ません。
  2. サブリースのアパートやマンションへの融資
    サブリース会社がオーナーから賃貸物件を一括して借り上げて、1戸単位で転貸するシステムです。物件の管理や手続き、賃料の回収業務についてはサブリース会社が行い、オーナーには契約内容に応じた家賃が支払われます。 メリットとしては、オーナーが入居退去の手続きや 家賃の集金業務から解放され所有物件の管理業務から解放され、また契約期間中は 一定の家賃がサブリース会社から安定した収入が入ってくるというメリットはあります。
    しかし、注意点としては、家賃が入ってくるのは一定の契約期間だけということです。
    サブリースの契約期間は通常は、20年とか35年とかですが、「10年ごとに見直し」等となっており、物件周辺の状況や空室状況などにより、家賃が下がってくるというリスクはあります。サブリース会社が提示した金額がずっと続くわけではありません。
    また、通常、この取引においては、不動産会社(サブリース会社)と交渉することが多いため、金融機関が不動産会社から聞いてることと、お客さんが不動産会社から聞いてることが相違することを避けるために、直接金融機関と会う場所をセッティングすることも大事です。
  3. 駐車場など事業用物件
    個人の方が 駐車場経営などを行うために事業用物件を取得することがあります 。この場合には土地購入資金や駐車場にするための整備費用などの資金需要が発生することになります。ただ、駐車場用地を買う場合は将来的には別の土地活用を目的にしてるケースもあります。この時は、将来こういう風に土地を活用する予定があるんですよということを金融機関に伝えておくと、金融機関は積極的に土地購入資金に取り組んでくれることがあります。
    また、金融機関は駐車場等の事業用物件の融資の場合は、将来の収支状況を特に気にします。駐車場経営からの収入が不安定ではないか、固定資産税等の支払いを考慮されているか、土地購入後の機械設備の資金なども考慮しているか。また、いざという時のための回収に備えて担保評価額は気にするポイントです。

金融機関の選びのポイント

金融機関としても、企業向けの融資残高が伸び悩む中で長期にわたり、安定した収益が確保できる不動産融資は重要であるということは間違いないです。先日の週刊ダイヤモンド3月4日号には信用金庫・信用組合ランキングが載っており、非常に参考になります。この中でもランキング上位の金融機関は不動産融資を積極的に行っており、参考にしていただけると良いです。

金融機関の不動産融資のポイント

どのようなポイントで審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえて、融資資料の作成や心構えをもっておくとよいでしょう。

1. 顧客属性・信用情報

不動産融資でも、顧客属性や信用情報は審査基準の1つになります。確認するのは申込者の年齢や職業、就業形態、年収、勤務地先の情報等です。

年齢に関しては高齢の場合、返済できる期間が短くなってしまうため、不動産融資を受ける場合はハードルが高くなります。また、就業形態も重要で、別の事業や勤め先があるならば継続的・安定的に収入が確保できるかどうかを確認します。年収については、昨今は不正事例もあったため、通帳の原本を確認されるようになっています。加えて、信用情報照会を行い、他社からの借入がある場合は、過去の返済履歴、延滞の有無が判断材料になります。

2.投資物件の資産価値・担保価値

購入資金を融資する金融機関としては、万が一、融資の返済が滞った場合には、担保として土地建物不動産の価格がいくらなのかは知っておく必要があります。この際、担保価値が高ければ融資の可能性も高くなります。資産価値として、金融機関へアピールすべき点は以下この4点になります。

  1. 交通の利便性が良好であるか
  2. 生活する上で利便性が高いか
  3. 災害に強い場所に位置するか
  4. 構造に問題はないか。耐震性、耐火性、遮音性等に優れているか

3.購入予定者の事業経営能力

不動産投資を行う個人も、不動産賃貸業を行う事業者となるわけなので、事業者として人間性も重要な審査基準となっていきます。そのため、キチンと以下の質問には応えられるようにしておく必要があります。

  1. どのような目的で不動産投資を行うのか不動産投資で何を実現したいのか
  2. 大規模投資等をきちんと見据えているか
  3. 何より不動産賃貸業者となる覚悟はできているか

 

「公庫融資借換特例制度」を活用して据置期間を延長する方法

コロナ融資の返済開始が増えるにつけ、「返済したくても今のままでは返済できない。どうにかできませんか」という相談は日に日に増えています。「同額借換」を行うことで、「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばすことができます。

民間金融機関による「コロナ融資」の「同額借換」については、「コロナ借換保証制度」があります。「コロナ借換保証制度」については過去のブログで紹介させていただきました。

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

今回は、これの日本政策金融公庫版、「公庫融資借換特例制度」について解説いたします。

1.前向きに「同額借換」に公庫は応じてくれます。

日本政策金融公庫に対して「同額借換をお願いできませんか」と依頼すると、意外とスムーズに対応してくれることが多いです。

なぜなら、「「公庫融資借換特例制度」という制度があるから」なのです。

2.「公庫融資借換特例制度」の利用が出来るパターン

「公庫借換特例制度」で利用出来るのは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度を利用して借入をしているパターンだけではありません。以下の制度を利用している場合での借換にも適用できます。

  • 「経営環境変化対応資金」
  • 「金融環境変化対応資金」
  • 「東日本大震災復興特別貸付」
  • 「令和元年台風第19号等特別貸付および令和2年7月豪雨特別貸付」
  • 「事業再生・企業再建支援資金」
  • 「事業承継・集約・活性化支援資金」
  • 「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」
  • 「挑戦支援資本強化特別貸付制度」

3.借換によるメリット

この「公庫融資借換特例制度」を利用することでどんなメリットがあるかというと、新型コロナウイルス感染症特別貸付の借入金を借り換える場合、「返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)」となっているため、据置期間が延ばせるというメリットがあります。

というのも、それ以外の制度で借り換える場合は、据置期間は原則1ヶ月以内となっているため、据置期間の繰り延べ効果は望めないのです。既存の融資の返済期間が短い場合、借換を行うことで毎月の返済負担額を減らすことができます。

通常、毎月の返済負担額を減らしたい場合は「リスケ」するしかありませんが、「リスケ」をしてしまうと、信用格付けが落ちてしまうため、新規融資を受け付けてもらえなくなるというデメリットがあります。

しかし、「公庫借換特例制度」での借換では、毎月の返済負担額を減らしても、信用格付けは落ちないので、新規融資が必要な場合も、融資交渉が可能な状態を継続できるのです

4.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は金利が上がる可能性あり

ただ、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては、以前借りいれたタイミングによっては、借り換えることで金利が上がる可能性もありますのでご注意ください。

まずは、現在借りている日本政策金融公庫の支店のご担当者へご相談してください。

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