金融機関に融資を断られたときでも、いろいろな資金調達の手法はあります。
最近は、フィンテック業界でネットのデータを使って銀行以外の企業が融資を行う事業に相次いで参入しています。
そういった融資は、AIによって判断するため、意思決定のスピードが速く、資金が急に必要になったときでも、素早く対応してもらえます。
今回は、データレンディング(オンラインレンディング)という資金調達手法についてお伝えいたします。
データレンディングとは、「ビッグデータ」と「AI(人工知能)」を活用し、人手をほとんど使わず、ビックデータを分析し、融資判断を行う融資サービスのことです。いくつかのサービス形態に分かれていますので、以下それぞれご紹介します。
(1)スコアレンディング
AIがその企業の将来的なリスクや、返済の可能性を判断して、点数化を行い、融資額や融資条件を自動的に決定するというサービスです。
以前から「スコアリングモデル」による融資商品は、銀行を中心にあったのですが、これは、その精度を高めたものです。ノンバンク系による融資が先行しています。
<代表例> J.Score AIスコア・レンディング
J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクが出資して創った消費者金融です。しかし、2022年12月13日に、J.Score(ジェイスコア)とLINE Creditの事業統合が発表されました。J.Score(ジェイスコア)は、2023年1月31日で新規申込が停止されているそうです。
(2)トランザクションレンディング
ネットの取引履歴(売上実績)を根拠とした融資サービスです。
ECサイトにおける売上のデータや、決済サービスにおける決済のデータをAIが分析することで、融資審査します。
ECサイトを利用している事業主が、「銀行から仕入れ資金が借りられないけど、どうしても必要だ」というときに使えるので、ユーザー側からすれば、とても使い勝手がよいものです。
<代表例>
- 住信SBI銀行 dayta
- 楽天スーパービジネスローンエクスプレス
- GMO-PGトランザクションレンディング
(3)バランスシートレンディング
ネットバンクやクラウド会計ソフトから確認できる入出金の状況データから融資の審査を行うオンライン融資サービスです。クラウド会計ソフト経由で送達した会計帳簿データをAIが分析して信用力を見極めるというものです。
過去の決算書で審査する従来の与信と比べて、期中のリアルタイムの情報から精度が高い融資を実行することができる特徴があります。
<代表例>
- MFクラウドファンディング:マネーフォワード会計との連携
- アルトアオンライン融資サービス:弥生会計との提携
(4)まとめ
金融機関からの融資以外にも、上記のAI技術を利用したデータレンディングによる融資サービスがあります。
データレンディングの普及で、中小企業や個人事業者が緊急時に資金が必要な時に、短期間で少額の資金調達方法の選択肢としても可能性が広がってきています。
このデータレンディングを利用するうえで、やっておくべきことは、「取引履歴や入出金データのリアルタイムな管理」です。その結果、企業の信用力が評価されやすくなり、有利な条件で融資を引き出すことが可能になります。