融資稟議書の内容を知って融資交渉に備えよう

事業者が融資を希望すると、金融機関の担当者は「融資稟議書」を作成します。

その融資稟議書が支店内の関係者及び支店長、本部の審査を行う部署に回覧された後、認可されるかどうか決まります。

申請した融資審査の結果に直接関係するのは、稟議書の内容です。そして、融資稟議書を書くのは、言うまでもなく担当者です。しかしこの担当者のレベルの差が著しく、デキる人はデキるのですが、そうでない場合も多々あり…というのが悩ましいところ。運悪くハズレ担当者にあたってしまうことも、しばしばあります。

とはいえ現在の金融機関で通りやすい稟議書を書ける担当者は、ほんのひと握りです。また、優秀な担当者の方が、取引先を抱えて忙しく、事業者へのヒアリングの経験も、またそのための時間も十分に取れなかったりします。

そこで担当者の力量(だけ)に頼るのではない対策が必要です。今回は融資稟議書に書かれる内容を把握して、事前に対策をしようというテーマを解説していきます。

融資稟議書に書かれる8項目

担当者が融資稟議書に書く項目は8つあります。
(1)金額
(2)金利
(3)実行予定日
(4)貸出期間・据え置き期間
(5)保全(保証人・担保等)
(6)資金使途
(7)返済資源
(8)融資効果

このうち、融資の決定に大きな影響を与えるのが、

(6)資金使途(なぜ、その資金が必要なのか)
(7)返済資源(どのように返済するのか)
です。

この2点が、稟議書を読む側が納得できる内容であることが大前提です。

それ以外としては、担保や保証人について説明することでリスクの高い案件にも対応できる(4)保全も重要。

さらに(8)融資効果は、この融資の社会的意義を説明することで審査側を説得しやすくなります。

融資審査に影響を与える項目

上記以外にも稟議書で重要視される項目として、以下が挙げられます。

●財務内容
●資金の流れ
●必要資金の適正性
●経営者個人の定性情報
●ビジネスモデルの将来性

これらを「資料」として提出すれば、担当者の情報収集や情報分析が十分でなくても、比較的通りやすい稟議書を作成してもらうことができます。

良い稟議書を記載してもらえるために意識すべき2つのこと

上記の融資稟議書の重要項目や稟議書以外に重視される項目を適切に記載してもらうにはどうすればよいでしょうか?

そのためのポイントとして押させておきたいことは、以下の2つです。

(1)懇意にしている金融機関との取引があること(複数あればなお良)
(2)金融機関に自社の情報を積極的に提供すること

懇意にしていない金融機関がなければ、融資申請しても担当者が熱意を持って対応してもらえません。熱意と書きましたが、実際には気合いや根性というより、稟議書全体に説得力があるか項目一つひとつに至るまで詳細に確認すること。

時間も手間もかかりますから、担当者には「この融資を通したい」熱意も必要でしょう。それが「取引金融機関とは良好な関係を」と私が伝え続けている理由です。

また、ヒアリングの経験や時間が十分でない担当者が多い現状では、事業者の側で補完する必要があります。それは金融機関へ積極的に情報提供を行うことで補えるでしょう。

普段から月に一度、資料を作って金融機関を訪問し、情報提供をするだけで、「借りたいときに」「借りたい金額を」借りられるようになります。

コロナ借換保証制度:他行での同額借り換えも検討の余地あり

国の調査結果によると、民間ゼロゼロ融資の返済開始のピークは2023年7月から2024年4月と言われています。

「今の状況ではコロナ融資を返済できない」という法人が今後増えてくると予想されています。

しかし、「コロナ借換保証制度を使った同額借換」を利用すれば、据置期間(返済猶予期間)をさらに延ばすことができます。

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

しかし、「コロナ借換保証制度」に積極的でない金融機関がメインバンクのケースもあります。

今回は、この「コロナ借換保証制度」を使った「他行借換」(肩代わり融資)について解説します。

1. 「コロナ借換保証制度」とは?

「コロナ借換保証制度」とは、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、信用保証協会の保証つきのコロナ融資を借り換えることができる制度のことです。

2.「コロナ借換保証制度」を利用した借り換えに消極的な金融機関

先述したとおり、「コロナ借換保証制度」を利用することで、据置期間(返済猶予期間)を延長することができるのですが、この制度を利用した借り換えに消極的な金融機関も見受けられます。

なぜならば、自分のところですでに借りてもらっているコロナ融資をコロナ借換保証制度で借り換えてもらっても金融機関にとって、融資額が増えるわけではないからです。

もちろん、受け取る金利が増えるわけでもありません。それどころかコロナ借換保証制度で借り換えることで、「経営行動計画書」作成サポート、また、年に1度保証協会に「事業計画進捗状況報告書」を提出するという、借り換えしなければ必要のなかった業務が発生します。

忙しい金融機関にとって、コロナ借換保証制度での借換は、メリットがないのです。

3.「コロナ借換保証制度」を利用した「他行借り換え」には対応してくれる

ところが、「他行借り換え」(肩代わり)なら、事情は変わります。なぜなら、肩代わりする金融機関にとっては、融資額が増えます。また、それに伴って受取利息=収益も増えます。

さらにコロナ借換保証制度の場合、申請する事業者の要件さえそろっていれば、信用保証協会の認可を得やすいのです。稟議書を作成する手間を、ある程度省けます。さらに、100%保証での借り換えとなると、金融機関のリスクもありません。

コロナ借換保証制度を使った「他行借り換え」は金融機関にとって、取引先の財務状況にもよりますが、低リスクで新規先を得られる絶好の機会になります。

4.肩代わりされる金融機関の事前確認は不要

「他行に依頼すると、前の銀行に申し訳ない、言い出しにくい」と躊躇する経営者もいるでしょう。

しかし、心配はいりません。保証協会の保証つき融資を別の金融機関で肩代わりしてもらうことになった場合は、保証協会の認可をとるだけでよく、基本的には肩代わりされる金融機関の「事前確認」は要りません。

いま、信用保証協会の保証つきで、コロナ融資を借りている金融機関が、コロナ借換保証制度を使った同額借換に消極的なら、積極的な金融機関に肩代わりを打診されることをおすすめします。

創業時に、自己資金のみで開業すべきか?借入をすべきか?

創業希望の方や創業して間もない方からよく、

「創業融資を借りても、返済が不安だから自己資金だけで開業しようかと迷ってます」

というご相談を受けることがあります。

こんな時、「自己資金だけで」と希望する創業者の方に対して、けして無理強いするものではありませんが、もし、迷っているようでしたら、借りることをおすすめしています。

今回は、なぜ創業融資を借りた方がよいのかということについて、以下説明させていただきます。

結論: 借りたいときに貸してもらえないから

創業から1年もすると

「今はまだ赤字だけれどあと少し事業を継続できれば軌道に乗る」
とおっしゃる事業者は少なくありません。

しかし、その時になって急に融資を申し込んでも業績が悪化したままの企業に
融資してくれる金融機関はほとんどないのです。

創業のために準備していた資金(自己資金)や調達した資金(創業融資等)が1年以内に枯渇し、事業が継続できなくなった結果、廃業せざるを得ないということになります。

だから、創業融資は借りておいた方がよい。という結論になります。

具体的に説明していきます。

創業者の生存率

「創業者の3割は1年以内に廃業し、5割は3年以内に廃業する。10年後まで生き残っている創業者は1割程度」…という話を何度か聞いたことがあるでしょう。

私も、この話を聞くことはあっても、正直、この数値の根拠となるデータを見つけることができておりません。

実際のところは、ここまで廃業する可能性が高いとは思いませんが、遠くもないかと思います。日本政策公庫の「2022年度新規開業実態調査」(12ページ)によると、創業者の開業後の状況として、3.5割程度は赤字基調です。赤字基調だからといって、すぐには廃業しませんが、赤字基調であれば、そのままであれば資金不足に陥りますので、1年以内の廃業率3割というのは、あながち遠い数字ではないのです。

このような1年以内に廃業した創業者の多くは、「あと1年(半年という方もいます)粘ることができれば、事業を軌道に乗せられたのに」とこぼします。

大半の方が、計画通りではないながらも、売上は増加していっていたのです。ただ、その売上増加スピードが計画よりも遅かったため、資金繰りが苦しくなるわけです。

手応えは感じていたのに、資金繰りの問題を解消できなかったが故に廃業せざるを得なかったのは、非常に悔しいものです。

「あと1年粘ることができれば」と肩を落とす創業者が、資金繰りが悪化したとき追加の運転資金を借りることができれば、多くは生き残れるでしょう。

つまり「創業者の3割」といわれる1年以内の廃業は、準備次第で防げるのです。

日本政策金融公庫は創業1年後の追加融資を(そう簡単に)行わない

創業者の95%は、日本政策金融公庫の創業融資で創業資金を調達します。

すべてのケースそうではないですが、基本的に公庫は創業融資を行った事業者が1年後に「準備していた資金が枯渇したので、追加で運転資金をとお願いします」と言っても、ほぼ貸してくれません。

なぜならば、基本的に公庫には、「創業融資の借入額の半分程度を返済してもらわなければ、次の融資は取り扱わない」という暗黙のルールがあるからです。

もちろん、業績が順調で前向きの追加資金を希望する事業者には、半分返済が終わっていなくても追加融資に応じてくれます。

しかし、創業計画のとおりには進んでおらず、業績が悪化している事業者には、原則的に追加融資を行いません。

基本的に創業融資の場合、「設備資金」は7年返済、「運転資金」は5年返済が多いです。

据置期間なしで借りてすぐ返済を始めても、半分を返済できるのは、「設備資金」は3年半、「運転資金」は2年半です。

1年以内に追加資金を借りようとしても、公庫は「半分返済していただいてから検討させてください」と、ほとんどの場合、断ってきます。

すると、創業1年後に赤字基調で、かつ創業資金を使い果たしそうになるものの、公庫から追加融資してもらえないという状況になります。これを「創業1年後の資金繰りの沼」と呼んでいます。

公庫と同時に民間金融機関からも借りる

では、「創業1年後の資金繰りの沼」にハマらないためには、どうすればよいか?

それは、資金繰りが最大ピンチになる1~2年後を見越して「民間金融機関からも創業融資を借り、関係性を深め、支援してもらえる態勢の構築」をすることです。

公庫の創業融資を借りるとき、同時に民間金融機関からも創業融資をしてもらうためは、下記のような方法があります。

  • 公庫に提携融資先を紹介してもらう
  • 公庫が創業融資を認可するのを条件に、民間金融機関に創業融資を申請
  • 公庫から創業融資を借りられたことを材料に、民間金融機関に融資を申し込む
  • 公庫と民間金融機関の創業融資を並行して、同時に申し込む

創業融資のデメリットは何か?

逆に創業融資を行うことでのデメリットはなんでしょうか。以下のことが考えられます。

利息負担が必要

創業融資を借りなければ、発生しなかった利息という追加的なコストが発生してしまうというデメリットがあります。

しかし、上記の創業融資のメリットを享受するための、必要経費として考えていただきたいです。

創業融資を例えば、500万円借りた場合、日本政策金融公庫の創業融資は、だいたい利率1%~3%に収まりますので(ブログ執筆時点)、最大で15万円/年間となります。

これは税務上、事業経費にもなりますし、これを高いと捉えるか安いと捉えるかは、その方の判断によると思いますが、私は事業を行う上で、必要な経費として捉えた方がよいと考えています。

なお、日本政策金融公庫の金利は利用する融資制度や担保の有無、資金使途、返済期間などによっても変わる可能性がありますので、実際の金利がどのくらいになるのかは、日本政策金融公庫の支店窓口に問い合わせてみてください。

元金返済が必要

当然ですが、あくまでも融資なので、利息をつけて満額返す必要があります。

融資は借りた後、「どう使うのか」と「どう返すのか」が重要になってきます。損益の計画や資金繰りの計画を立てながら、返済することが必要になってきます。

事業計画書作成など手間がかかる

創業融資を借りる場合には、創業計画書や事業計画書の作成が必要です。
借入額が少なくて、かつ自己資金が潤沢にある場合などは創業計画でも借りられる場合がありますが、そうでなければ事業計画書を作成することが望ましいです。

事業計画は、経営者の略歴から事業内容や、損益の計画と資金繰りの計画が必要になり、作成するのは簡単ではありません。専門家に頼む場合は、コストが発生してしまうので、その意味ではデメリットとなります。

しかし、事業計画等を作成すること自体に価値があります。事業の成功率が計画があるのとないのでは、大きく違うからです。その点も含めて、デメリットとして考えるか、将来の事業計画を作成・検討する良い機会と捉えるのか、考えてみてください。

経営者保証等が必要なケースがある

場合によっては、融資を受ける際に担保や保証人などの保全が必要になるケースもあります。しかし、創業融資では制度上、無保証で借りられることも多いです。また、昨今は経営者保証なしの融資による創業支援を金融庁や経済産業省主導で推し進めています。

まとめ

最初に申し上げた通り、絶対、創業融資は借りないといけないものではありませんし、事業の性質や創業者のおかれた環境によっては、借りなくても良いケースはあるでしょう。

しかし、創業時には政策的に有利な制度があり、その制度を使えるのは、その方の創業時に限定されています。そのため、迷っているようでしたら、借りることをおすすめしています

こんな方は創業融資が借りれられる! 11個のチェックポイント

創業融資は、最初にして最大の資金調達のチャンスです。

今回は、そんなぜひとも実行しておきたい創業融資について、少し多いのですが、便利な11のチェックポイントをお知らせしましょう。

これらすべて確認おけば、事前に創業融資が借りれられるかどうか判断することができます。

まず、結論です。11個のチェック項目とは以下の通りです。

  1. 自己資金があるか
  2. そのビジネス対する経験があるか
  3. 必要な資金はどれだけか
  4. 必要な許認可をとっているか
  5. ターゲット顧客は明確か
  6. 商品・サービスに特徴はあるか
  7. 借りる資金の使い道は明確か
  8. 販売促進の方法は具体的か
  9. 消費者ローン・カードローンの利用歴は健全か
  10. クレジットブラック情報はあるか
  11. 税金の滞納はないか

一つずつどんなチェック項目なのか説明をしていきたいと思います。

1. 自己資金がどれだけあるか?

金融機関が創業融資を行う際、「自己資金をどれだけ貯めているか」が、審査にあたっての大きなポイントです。自己資金が少ないと事業への本気度を疑われ、融資を断られることも少なくありません。

また、本人が自己資金だと主張しても、日本政策金融公庫からそれは自己資金ではないと認められない場合もあります。自己資金をどのように貯めてきたかも大事になってきます。コツコツ貯めた資金であれば、金融機関の担当者も計画性のある事業者だと良い評価をしてくれるでしょう。

2. そのビジネスに関する経験がどれだけあるか

自己資金と同様、審査の際の大きなポイントとなるのが、新たに始めるビジネスの経験があるかどうか」です。経験不足の場合も、融資が厳しくなる傾向にあります。

3. 資金はどれだけ必要なのか

「できるだけ多くの金額を借りたい」という気持ちは、私も創業者でしたから、もちろんよくわかります。ですが、そう言われた金融機関の担当者の頭には、「この事業計画の数字、信用できるの?」という疑問が浮かびます。

必要な資金が明確になっていると、「このビジネスに対して真剣に取り組んでいる」と見られるようになるので、いくら必要だからいくら借りたいということが明確にする必要があります。 

4. 必要な許認可をとっているか

その事業を行う上での許認可を取っていなければ、そもそもビジネスを始めることはできません。

必要な許認可がないと、融資は行ってもらえません。許認可が必要なビジネスの場合は、その許認可を得ているかどうかの確認が、最初に行われます。

5. ターゲット顧客は明確か

ターゲット顧客が明確になっていないと販売促進の方法が曖昧になってしまい、見込んでいる売上の確保が難しくなります。そのため、金融機関の担当者に対して、ターゲット顧客を明確にして、細かく説明し、アピールをしてください。

6. 商品・サービスに特徴・特長はあるか

商品・サービスに魅力(特徴・特長)がなければ売れません。担当者に「商品・サービスが売れる理由」を伝えることで、成功に繋がるビジネスモデルだと認識してもらえます。

7. 借りる資金の使い道は明確か

どんぶり勘定の経営者を、金融機関は何よりも嫌います。借りる金の使い道を1円単位まで説明できれば、その資金が必要な「理由」「金額」についても納得してもらえるでしょう。

8. 販売促進の方法は具体的か

金融機関の担当者が創業融資の審査で一番気にするのは、「計画通りの売上を確保できるか?」です。

販売促進の具体的方法を持っていない事業者に対しては、計画的に売上を確保することが難しいと考えられ、金融機関が融資することはありません。売上の確保が不透明であり、返済もできないと見なされるからです。

「いいものを提供すれば、自然に売れる」と考え、販売促進策の具体性・実行可能性・継続性がぼんやりしている創業者が多く見られます。なんとなく「口コミ任せ」「SNSでの拡散任せ」ではなく、具体的な方法を考えられていることが重要です。

9. 消費者ローン・カードローンの利用歴は健全か

現在、消費者ローンやカードローンでの多額の借入は、金融機関が融資を断る合理的な理由になってしまいます。

金額については、金融機関により判断がまちまちです。一般的には、借入額が50万円を超えていれば、融資は難しくなりがちです。また100万円を超えていれば、断られることが多いようです。 

10. クレジットブラック情報はないか

クレジットや借入が延滞した過去があれば、クレジットブラック情報として履歴が残ります。クレジットブラックの場合も、金融機関から融資を断られる合理的な理由になります。
クレジットカードの返済遅延の情報などは、外部機関で記録が残ってしまっているため、普段から返済遅延がないようにしておいてください。 

11. 税金を滞納していないか

税金を滞納している事業者に、金融機関が融資することはまずありません。滞納があるかは、調べればすぐわかることですので、借入を行う前に、必ず税金の延滞を解消する必要があります。

 

11個のチェックポイントをすべて確認して、すべてクリアしていれば、創業融資をぜひ行ってください。創業融資は事業上、とても有利に融資ができる唯一のタイミングです。

いずれかのチェックポイントをクリアできていない場合でも対策できないわけではありませんが、事前にクリアできるようにしておくことが重要です。

質問:「コロナ借換保証」を断られました。どうすればいいですか?

2023年1月10日から始まっている「コロナ借換保証制度」

「コロナ借換保証制度」とは「一定要件を満たした中小企業者」が、「「金融機関との対話」を通じて「経営行動計画書」を作成」したうえで、「金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度」のことです。

政府が力を入れている施策なので、基本的に信用保証協会は前向きに対応してくれますが、審査もコロナ禍のときのように優しくないこともあって、「コロナ借換保証を断られた。どうすればよいか?」というご相談をいただきましたので、コロナ借換保証が断られるケースとその対策をブログにできる範囲で回答させていただきます。

1.担当者が制度を知らないというケース

まずは、事業者がコロナ借換保証を依頼したときに、「そのような制度は存在しない」と担当者に言われたというケースがたまにあります。その理由は、新しく創設された信用保証制度を積極的に推進しない方針を採る金融機関の場合、担当者一人ひとりにまで制度の通達が伝わっていないため、担当者が知らなかったという場合に起こっているようです。また、担当者が不勉強だと制度自体を知らないこともよくあります。

2.制度を知らない担当者に当たったときの対策

担当者が制度の存在を知らなかったときは、支店の貸付責任者に問い合わせてみてください。

担当者が知らなくても、融資の責任者なら「そんな制度は存在しない」と回答することはまずないでしょう。重要な制度については、本部から通達が届いているためです。

3.「あなたの会社では使えません」と門前払いされたというケース

「あなたの会社はその制度で取り扱いできません」と門前払いされたというケースもあります。

コロナ借換保証制度を取り扱っても、金融機関のメリットはありません。融資額が増えるわけでも、受け取り金利が増えるわけでもないのです。

むしろコロナ借換保証制度を取り扱うことで、「経営行動計画書の作成サポート」や「年に一度の事業計画進捗報告書作成」など手間がかかる担当者の作業が増えるだけ。

そんな理由もあって、取り扱いに消極的な姿勢になってしまうのが金融機関の本音ではないでしょうか。

4.コロナ借換保証に消極的な金融機関だったときの対策

現在取引している金融機関「以外に」懇意にしている金融機関があれば、そこにコロナ借換保証制度の借り換え(肩代わり)を依頼するのが最善策です。

肩代わりする側の金融機関は、融資額も受け取り金利も増えます。また、100%保証なら金融機関にリスクはありません。さらに信用保証協会も「コロナ借換保証制度」については積極的に認可してくれるため、「肩代わり」なら金融機関のメリットが大きいのです。

制度上の理由で断られることもありますので、断られた場合は、「謝絶の理由」を聞くようにしましょう。

「謝絶の理由」が「納得できる」「致し方ない」の内容だった場合、他の金融機関に依頼しても依頼しても取り扱ってもらえないこともありますので、その場合はその理由を改善するために対策が必要なので、その点はお気をつけください。

東京都中野区で開業する方向けの創業融資

今回は、「東京都中野区で創業融資を受ける!」というテーマについて紹介していきます。

東京都中野区の制度融資

中野区で創業融資を受ける場合、主な選択肢としては以下の2択となります。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 中野区の制度融資

日本政策公庫の創業融資

日本政策公庫とは、100%政府が出資する公的な金融機関であり、国の施策に基づいた融資や保証、資金調達の支援を行い、中小企業や地方自治体の施策にも積極的に協力しています。そのため、創業者にも積極的に融資を行っていますので、創業融資を受ける際にはまずは検討したい機関です。

全国に152支店(令和5年3月時点)あり、本店所在地のお近くの支店に申し込むことになりますが、中野区で事業を行う方は、新宿支店が管轄となります。

制度融資とは

制度融資とは、地方自治体(都道府県や市区町村)が金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度のことです。創業者が金融機関へ支払う利息や信用保証協会へ支払う保証料を地方自治体が補助することで、創業者がお金を借りやすいようサポートしています。

自治体ごとに制度は異なり、中野区でも独自の制度を設けていますので、ここからは、中野区の制度融資について紹介させて頂きます。

中野区の制度融資

中野区の制度融資には、中野区産業振興センターが運営している「中野区産業経済融資」があります。そのうち、創業者が検討するのが「創業支援金 」です。

融資条件

融資限度額 2,000万円
利息(本人負担) 0.2%
借入期間 7年以内(うち据置期間1年以内)
保証料 1/2を東京都が補助

日本政策金融公庫の融資が利率2.5~3%程度なのに対して、中野区の制度融資は、0.2%という非常に低い優遇された利率が特徴です。

制度融資の場合は、信用保証協会による保証が付くので、利息とは別に保証料を支払わなければいけません。保証料は通常1%弱程度ですが、中野区の制度融資を利用すれば東京都の保証料補助が受けられるので、保証料負担は2分の1で済みます。そのため、利息+保証料で考えて、調達コストは公庫の融資よりも低くなります。

利息と保証料を合わせても、日本政策金融公庫で借りるよりはるかに低コストで済みますので、その点は最大の魅力と言えます。

利用対象者

制度融資の対象となるのは以下の方です。

1.現に事業を営んでいない者で事業を創業しようとする者、または事業を創業して3年未満の者であること
※当該創業の際、現に事業を営んでいる者を除きます。

2.創業しようとする事業または創業した事業の規模が中小企業信用保険法第2条第1項(第6号を除きます。)に該当し、かつ、次のいずれかに該当すること
・法人の場合、主たる事業所及び本店の所在地が区内にあること
・個人事業者の場合、主たる事業所が区内にあること
※主たる事業所とは、営業の本拠地として本店機能を持った店舗、事業所または事務所をいいます。

3.次の税について、納付すべき分をあっ旋の申込みをする日までに完納していること
・法人の場合、法人都民税
・個人事業者の場合、特別区民税及び都民税

4.許認可または届出等を必要とする業種を営む場合は、その許認可を受け、または届出等をしていること

5.東京信用保証協会の保証対象業種に該当すること

6.【これから創業】の場合、創業に必要とする総経費の3分の1に相当する額を自己資金で調達できること

7.【創業後3年未満】の場合、現に売上が発生していること

※法人成りや分社化の場合には、対象となりません。

ここで実務上、注意しないといけないのは6.自己資金要件と7.売上要件です。(パンフレット等には記載がなく、ホームページにいかないと記載されていません💦)

創業をまだされていない方は、事業経費の1/3を自己資金として用意していないといけません。また、創業をすでにされている方は、売上がすでに発生していないといけないのです。

加えて、個人事業主として開業した後に、法人を立ち上げて、この制度融資を検討している場合も利用が難しい場合が多いです。あくまでも創業に係る制度のため、個人事業主としての開業が3年前なのかどうかで判定します。

利用の流れ

制度融資を利用する際には、日本政策金融公庫の融資を受けるよりも煩雑な手続きが必要です。通常、初回相談から入金まで、3か月程度かかります。

中野区産業振興センターの相談室にて、中野区の商工相談員(中小企業診断士)と相談を行います。相談は複数回に渡って行われ、相談を経て「創業計画書」を完成させます。

この相談会は、目安として一コマ50分/回を3,4回行うことが多いようです。

②創業計画書が完成したら、中野区から「あっせん状」が発行されます。あっせん状とは、中野区が金融機関へ創業者をあっせんするという書類です。

③金融機関へあっせん状を提出し、融資の申込を行います。

④金融機関と信用保証協会から融資審査が行われます。創業の場合であれば信用保証協会の方が事業所まで来訪し、現地での面談が行われます。

⑤審査が無事に通ったら、金融機関と契約書を取り交わして入金されます。

日本政策金融公庫と制度融資、どちらを利用するべき?

ここまで聞くと、「制度融資の方が良さそうだな」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。日本政策金融公庫も制度融資も、それぞれ一長一短ありますので、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

  日本政策金融公庫 制度融資
メリット ・申込から入金まで早い(3~4週間程度)
・創業融資に慣れている
・調達コストが安い(金利0.2%)
・東京都の創業助成金の申込資格が得られる
デメリット ・制度融資と比べると金利が高い(2~3%台) ・時間と手間がかかる(3か月程度)
・金融機関や担当者によっては創業融資の取り扱いに慣れていないことも

制度融資は金利や保証料などの調達コストはかなり安いのですが、その分手間や時間がかかります。

日本政策金融公庫の場合、申し込みから入金まで3週間前後です。一方で、制度融資の場合は3か月程度かかることもよくあります。融資を受けるまでにも、何回も区の商工相談員と相談して、金融機関とも面談して、保証協会とも面談してから、やっと着金にこぎつけます。

両方利用することも可能

準備期間をしっかりとれるのであれば、、、両方から融資を受けることを検討してみてください。

例えば直近必要分の資金について日本政策金融公庫から融資を受けておいて、残りの分を制度融資で調達するということも問題ありません。

このようにすることでむしろ、創業時から日本政策金融公庫と民間の金融機関の両方と関係性を構築できるので、2~3年後に追加資金が必要になったときの頼れる先が増えることになり、メリットも大きいです。

 

今回は、中野区で創業融資を受けるならというテーマでした。

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2023年4月以降「コロナ資金繰り支援 継続プログラム」

経済産業省と財務省から2023年3月7日に「コロナ資金繰り支援継続プログラム」が公表されました。

この「コロナ資金繰り支援継続プログラム」は、事業者の資金調達に密接に関わってくるものです。今回はこのコロナ資金繰り支援継続プラグラムがどういった内容になっているのか解説します。

1.「スーパー低利融資」の申込期限を20239月末まで延長

現在、日本政策金融公庫は、新型コロナウイルスの影響を受け資金繰りに支障をきたしている事業者向けに「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を、物価高騰の影響を受け資金繰りに支障をきたしている事業者向けに「セーフティネット貸付」をそれぞれ行っています。

この「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「セーフティネット貸付」については、現在、通常よりも安い金利で借りられる「スーパー低利融資」を適用しているのですが、この申込期限が2023年3月末となっていました。それが9月末まで延長されます。

この延長によって、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の借換を行う場合も、金利が跳ね上がることがなくなり、借り換えしやすくなりました。

2.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を「新型コロナ対策資本性劣後ローン」に借換

2023年3月までが申込期限だった「新型コロナ対策資本性劣後ローン」の申込期限が9月末まで延長になります。

今回公表された資料には、「「日本公庫のコロナ無利子融資」を「劣後ローン」に借換える(資本性資金に転換する)ことにより、コロナ債務が増大している宿泊業などが民間金融機関から新規融資を受けやすい環境を整備する」と記載されています。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の同額借換をしても、据置期間は最大5年ですが、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」に借り換えることができれば、返済猶予期間は最大20年となります。

また、民間金融機関にとっては、「資本性ローン」というのは「疑似資本金」扱いにしてくれるので、民間金融機関からの資金調達もしやすくなります。

3.公庫と民間金融機関との「協調融資商品」の組成拡大

「新型コロナ対策資本性劣後ローン」を利用するためには、いくつかの要件がありますが、そのうちの一つに「民間金融機関との協調融資」があります。

これがなかなか難しかったりするのですが、民間金融機関に「協調融資商品」があれば、それを利用することで、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」が借りやすくなります。

「協調融資商品」を組成しているのが91金融機関、覚書を締結しているのが484金融機関あるとのことなので、そういった金融機関を見つけることができれば「資本性ローン」を借りられる確率を高められます。

また、民間金融機関との「協調融資」ができない場合でも、経営革新等支援機関の指導で事業計画書を策定すれば、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」が可能になります。

是非、取引している金融機関に対して「公庫との協調融資商品ってありますか?」「公庫と協調融資についての覚書を締結していますか?」と聞いてみてください。その返事が「YES」なら、「協調融資」⇒「新型コロナ対策資本性劣後ローン」という道筋をつけることが可能になるかもしれません。

経営者保証を外してもらうためにする6つのポイント

やはり「経営者保証を外したい」という経営者のニーズは高いでしょう。

金融庁の「企業アンケート調査の結果」によると、およそ7割の企業が「借入金の金利が上がったとしても経営者保証を解除したい」と回答しており、仮に経営者保証の解除ができるのであれば、借入金の金利が上昇してもよいと考える方が相当数いるようです。

全国銀行協会と日本商工会議所は、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を応援するために「経営者保証に関するガイドライン」を公表しています。

また、2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させていくため「経営者保証改革プログラム」を公表しています。そのことは以下の過去のブログでも触れました。

2023年4月から金融機関の「経営者保証」への対応が変わります!

これからは、経営者保証を今までより外しやすくなります!

私たち士業・コンサルタントの側からも経営者保証解除のお手伝いがやりやすくなったと思います。

ガイドラインに基づくと、経営者保証を解除するためのポイントは以下の6つです!

1)会社のお金と個人のお金をごっちゃにしない

法人と個人の資金が明確に分離されていない場合、金融機関からは法人に貸したお金が個人の資金として使われている可能性があり、経営者の個人保証を外すのは難しいと判断されることになります。

法人と個人のお金を混同しないためには、個人と法人の支払方法を区分する、口座を明確にわける等のお金の管理方法に関して一定のルールを決めて実行すること重要です。

また、役員報酬・賞与や配当、オーナーへの貸付等について社会通念上の範囲であることや税務等のルールに従って、決定する体制を整備する必要があります。

2)損益計算書:大幅な利益を出す

もちろん不正等の会計基準等に従っていない不適切な処理は問題があります。そういったルールに従った範囲で、利益が十分に出ていることが必要な資金を円滑に調達するためには寛容です。それにより返済能力があると金融機関からは評価され、信用力が向上します。

3)貸借対照表:役員貸付金等の科目を作らない。自己資本比率を高める

貸借対照表で、資金使途が不明確な仮払金や役員貸付金等は金融機関からの評価が低くなる可能性があります。また、自己資本比率が高ければ金融機関としては経営者保証を外すことにリスクはないと評価できることになります。自己資本比率を高めていくことで、信用力が高まります。

4)事業計画書を作成する

経営者は事業計画や業績見通しを作成することで、計画的に事業を実行することができます。確かに計画通りにうまくいくことはあまりないかもしれませんが、計画を立てなければ、目標を達成するのは非常に難しいでしょう。

5)定期的に金融機関に業績報告を行う

事業計画等を作成したうえで、事業計画の説明・進捗状況等の説明を金融機関に対して、積極的に定期的に報告していきましょう。また、事業計画・業績見通し等に変更が生じた場合にも、自発的に報告するなど適時適切な情報開示に努めます。

その定期的な情報開示を通して、経営の透明性を確保することができれば金融機関と良い連携が取れて、経営者保証に頼らない融資の実行が可能になります。

6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける

『開示情報の信頼性の向上の観点から、外部専門家による情報の検証を行い、その検証結果と合わせた開示が望ましい。また、こうした整備・運用の状況について、外部専門家(公認会計士、税理士等をいう。以下同じ。)による検証を実施し、その結果を、対象債権者に適切に開示することが望ましい。』と「経営者保証に関するガイドライン」にはあります。

どうしても、法人と個人の資金分離のルールを決めて実行したり、事業計画の作成・運用を一人でやるのは大変かと思います。しっかりサポートしてくれる外部専門家を見つけて頼っていくことが近道かと思います。

 

「経営者保証に関するガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、金融庁も積極的に後押しをしていることもあり、以前よりは、活用件数が増えてきています

上記6項目を満たすことで、保証人を外しやすくなるということになっています。

そのために、まず、必要なのは、「(6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける」ことです。しっかりした専門家がサポートしていれば、(1)~(5)の項目は、自然とできるようになります。

25万円の補助金を受けながら専門家と一緒に事業計画を作成する方法【早期経営改善計画策定支援事業】

早期経営改善計画は、事業計画書(経営改善計画書)作成を支援する専門家報酬の3分の2(上限25万円)を支援してもらえる補助金です。

資金繰りが苦しくなって追加で融資を受けようと思っても、コロナ融資の時には比較的簡単に融資できたけれども、いまとなっては公庫や信用保証協会も簡単には応じてくれません。そういったとき、経営改善のための事業計画書(経営改善計画書)を提出する必要があります。

ところが、事業運営で忙しい経営者であればあるほど、経営改善計画書を自分ひとりで作成することは難しく、経営改善計画書に記載する内容や、かならず添付すべき「資金繰り計画表」を作り上げるのはなかなか難しいでしょう。

つまり、金融機関が求める経営改善計画書の作成には、専門家によるサポートが必須といえます。しかしながら、資金繰りに困っている経営者にとって、専門家へ支払う資金を捻出することも、それは簡単ではありません。そこで利用するのが、この補助金になります。

今回は、この早期経営改善計画について、利用シーンや流れについてまとめていきたいと思います。

1.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用が考えられる事業者

●コロナの影響などで資金繰りが不安定になっている事業者
●売上が減少し、先行きが分からず不安がある事業者
●自社の状況を客観的に把握し、今後のアクションプランを整理したい事業者
●専門家のサポートを受けたいが、いきなり高額の費用は払えないため、まずは1度お試しで計画を作りたいと考えている事業者
2度目のコロナ融資を申請しようとしている事業者
既存債務の返済ができないため、リスケ(返済額減額)を希望している事業者

2.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用ができない事業者

過去に中小企業活性化協議会事業又は経営改善計画策定支援若しくは早期経営改
善計画策定支援を利用した事業者の方は対象外なので、注意が必要です。

ただし、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等の影響で業況が悪化した場合であれば、過去に経営改善計画策定支援や早期経営改善計画策定支援を利用している場合であっても、2023 年度中は2回目の申請がOKとなりました。

3.受けられる補助金

(1)経営改善計画策定支援費用(補助率2/3、上限15万円)
(2)伴走支援費用(期中)(補助率2/3、上限5万円)
(3)伴走支援費用(期末)(補助率2/3、上限5万円)

「伴走支援費用」とは、経営作成後の計画進捗状況確認のフォローアップを行うための費用「モニタリング費用」のことです。現在の制度では、「計画策定1年後に計画進捗状況確認のフォローアップ」を期末に行う際の補助金に加え、事業者が希望する場合、期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」を行う際の補助金も支給されます。期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」については1回限りではなく、複数回利用できることで、よりきめ細かいフォローアップをしてもらえる補助金になっています。

4.手続きの流れ


引用元:東京都中小企業活性化協議会HP

早期経営改善計画の流れを次の7つのステップで説明します。

【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】

①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援

⑦モニタリング

①相談・事前相談書の受け取り

まず、経営者と認定支援機関である税理士などの外部専門家が早期経営改善計画の適用を決めた後に、金融機関に対し、事前相談をします。

金融機関からは「事前に相談を受けた」ことを明記した「事前相談書」を入手します。

「事前相談書」は自分で作って金融機関に持参しても問題ありません。スムーズに早期経営改善計画のスタートができるように自分で作成して持ち込みましょう。

②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り

税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業利用申請書(早期経営改善計画)」を、経営改善支援センターに提出します。

また①で入手した「事前相談書」もあわせて提出します。

③計画策定を支援

外部専門家は中小企業・小規模事業者の早期経営改善計画書策定に向けた支援を実施します。

その際に作成する成果物は以下のものになります。

【早期経営改善計画書】
☑ ビジネスモデル俯瞰図
☑ 資金実績・計画表
☑ 損益計画
☑ アクションプラン

④計画提出・受取書等の受け取り

外部専門家と中小企業・小規模事業者が作成した早期経営改善計画を金融機関に提出します。

その際、金融機関から計画を受け取ったことを明記した「受取書」を取得します。

⑤費用の1/3を支払

中小企業・小規模事業者は、早期経営改善計画の策定費用の1/3を専門家報酬として認定支援機関に支払います。

⑥費用の2/3を支援

経営改善支援センターに対し、税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業費用支払申請書(早期経営改善計画)」を提出します。

その際、④で取得した「受取書」を添付します。

⑦モニタリング

外部専門家は、経営改善計画の記載に基づき事業者のモニタリングを実施し、「モニタリング報告書」を経営改善計画支援センターに提出します。

 

5.注意点

「早期経営改善計画策定支援事業」における補助金は、「認定支援機関」が支援することでもらえる補助金です。「認定支援機関」でない士業・コンサルタントによる支援では、残念ながら補助金対象になりませんのでご注意ください。

弊所は認定支援機関ですので、こちらの早期経営改善計画のお手伝いをすることが可能です。

融資を引き出すためには、「金融機関が求める情報」が必要十分に記載されている事業計画書を作成することが必要ですので、制度利用をご検討されている方はご相談ください。

 

金融機関が不動産融資を行う場合のポイント

事業に関するご相談だけではなく、不動産に関するご相談もお受けすることがあります。経営者の方から「個人財産で不動産投資をしたいのだけど、どうでしょうか?銀行は融資してくれますか?」といったようなご相談です。

事業融資の場合と不動産向け融資の場合は、金融機関の融資のポイントが異なります。今回は、金融機関がどのようなポイントで不動産融資審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえていけば、どのような準備資料を作っておけばいいのかがわかるわけです。

個人向けの不動産融資の種類と注意点

個人の方が行う不動産融資案件の種類とその時の留意点は以下の通りです。

  1. アパート・マンションへの融資
    資産運用の一環として、賃料収入を得るためにアパートやマンションを購入し、賃貸物件として運用するケースです。この場合、必要資金の7割程度しか融資してくれることがないと知っていてください。通常、自己資金が3割必要です。借主の資産内容や取引内容によって前後はしますが、必要資金を 100%融資してもらうことはあり得ません。
  2. サブリースのアパートやマンションへの融資
    サブリース会社がオーナーから賃貸物件を一括して借り上げて、1戸単位で転貸するシステムです。物件の管理や手続き、賃料の回収業務についてはサブリース会社が行い、オーナーには契約内容に応じた家賃が支払われます。 メリットとしては、オーナーが入居退去の手続きや 家賃の集金業務から解放され所有物件の管理業務から解放され、また契約期間中は 一定の家賃がサブリース会社から安定した収入が入ってくるというメリットはあります。
    しかし、注意点としては、家賃が入ってくるのは一定の契約期間だけということです。
    サブリースの契約期間は通常は、20年とか35年とかですが、「10年ごとに見直し」等となっており、物件周辺の状況や空室状況などにより、家賃が下がってくるというリスクはあります。サブリース会社が提示した金額がずっと続くわけではありません。
    また、通常、この取引においては、不動産会社(サブリース会社)と交渉することが多いため、金融機関が不動産会社から聞いてることと、お客さんが不動産会社から聞いてることが相違することを避けるために、直接金融機関と会う場所をセッティングすることも大事です。
  3. 駐車場など事業用物件
    個人の方が 駐車場経営などを行うために事業用物件を取得することがあります 。この場合には土地購入資金や駐車場にするための整備費用などの資金需要が発生することになります。ただ、駐車場用地を買う場合は将来的には別の土地活用を目的にしてるケースもあります。この時は、将来こういう風に土地を活用する予定があるんですよということを金融機関に伝えておくと、金融機関は積極的に土地購入資金に取り組んでくれることがあります。
    また、金融機関は駐車場等の事業用物件の融資の場合は、将来の収支状況を特に気にします。駐車場経営からの収入が不安定ではないか、固定資産税等の支払いを考慮されているか、土地購入後の機械設備の資金なども考慮しているか。また、いざという時のための回収に備えて担保評価額は気にするポイントです。

金融機関の選びのポイント

金融機関としても、企業向けの融資残高が伸び悩む中で長期にわたり、安定した収益が確保できる不動産融資は重要であるということは間違いないです。先日の週刊ダイヤモンド3月4日号には信用金庫・信用組合ランキングが載っており、非常に参考になります。この中でもランキング上位の金融機関は不動産融資を積極的に行っており、参考にしていただけると良いです。

金融機関の不動産融資のポイント

どのようなポイントで審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえて、融資資料の作成や心構えをもっておくとよいでしょう。

1. 顧客属性・信用情報

不動産融資でも、顧客属性や信用情報は審査基準の1つになります。確認するのは申込者の年齢や職業、就業形態、年収、勤務地先の情報等です。

年齢に関しては高齢の場合、返済できる期間が短くなってしまうため、不動産融資を受ける場合はハードルが高くなります。また、就業形態も重要で、別の事業や勤め先があるならば継続的・安定的に収入が確保できるかどうかを確認します。年収については、昨今は不正事例もあったため、通帳の原本を確認されるようになっています。加えて、信用情報照会を行い、他社からの借入がある場合は、過去の返済履歴、延滞の有無が判断材料になります。

2.投資物件の資産価値・担保価値

購入資金を融資する金融機関としては、万が一、融資の返済が滞った場合には、担保として土地建物不動産の価格がいくらなのかは知っておく必要があります。この際、担保価値が高ければ融資の可能性も高くなります。資産価値として、金融機関へアピールすべき点は以下この4点になります。

  1. 交通の利便性が良好であるか
  2. 生活する上で利便性が高いか
  3. 災害に強い場所に位置するか
  4. 構造に問題はないか。耐震性、耐火性、遮音性等に優れているか

3.購入予定者の事業経営能力

不動産投資を行う個人も、不動産賃貸業を行う事業者となるわけなので、事業者として人間性も重要な審査基準となっていきます。そのため、キチンと以下の質問には応えられるようにしておく必要があります。

  1. どのような目的で不動産投資を行うのか不動産投資で何を実現したいのか
  2. 大規模投資等をきちんと見据えているか
  3. 何より不動産賃貸業者となる覚悟はできているか

 

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