「公庫融資借換特例制度」を活用して据置期間を延長する方法

コロナ融資の返済開始が増えるにつけ、「返済したくても今のままでは返済できない。どうにかできませんか」という相談は日に日に増えています。「同額借換」を行うことで、「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばすことができます。

民間金融機関による「コロナ融資」の「同額借換」については、「コロナ借換保証制度」があります。「コロナ借換保証制度」については過去のブログで紹介させていただきました。

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

今回は、これの日本政策金融公庫版、「公庫融資借換特例制度」について解説いたします。

1.前向きに「同額借換」に公庫は応じてくれます。

日本政策金融公庫に対して「同額借換をお願いできませんか」と依頼すると、意外とスムーズに対応してくれることが多いです。

なぜなら、「「公庫融資借換特例制度」という制度があるから」なのです。

2.「公庫融資借換特例制度」の利用が出来るパターン

「公庫借換特例制度」で利用出来るのは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度を利用して借入をしているパターンだけではありません。以下の制度を利用している場合での借換にも適用できます。

  • 「経営環境変化対応資金」
  • 「金融環境変化対応資金」
  • 「東日本大震災復興特別貸付」
  • 「令和元年台風第19号等特別貸付および令和2年7月豪雨特別貸付」
  • 「事業再生・企業再建支援資金」
  • 「事業承継・集約・活性化支援資金」
  • 「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」
  • 「挑戦支援資本強化特別貸付制度」

3.借換によるメリット

この「公庫融資借換特例制度」を利用することでどんなメリットがあるかというと、新型コロナウイルス感染症特別貸付の借入金を借り換える場合、「返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)」となっているため、据置期間が延ばせるというメリットがあります。

というのも、それ以外の制度で借り換える場合は、据置期間は原則1ヶ月以内となっているため、据置期間の繰り延べ効果は望めないのです。既存の融資の返済期間が短い場合、借換を行うことで毎月の返済負担額を減らすことができます。

通常、毎月の返済負担額を減らしたい場合は「リスケ」するしかありませんが、「リスケ」をしてしまうと、信用格付けが落ちてしまうため、新規融資を受け付けてもらえなくなるというデメリットがあります。

しかし、「公庫借換特例制度」での借換では、毎月の返済負担額を減らしても、信用格付けは落ちないので、新規融資が必要な場合も、融資交渉が可能な状態を継続できるのです

4.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は金利が上がる可能性あり

ただ、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては、以前借りいれたタイミングによっては、借り換えることで金利が上がる可能性もありますのでご注意ください。

まずは、現在借りている日本政策金融公庫の支店のご担当者へご相談してください。

新型コロナウィルス感染症特別貸付が2023年9月まで延期されました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に業況が悪化している個人・法人を対象として2020年から開始された新型コロナウィルス感染症特別貸付は、当初2023年3月31日が期限でした。

しかしながら、以下の日本政策金融公庫から公表の通り、2023年9月まで延期されました!

″新型コロナウイルス感染症特別貸付、生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付、[新型コロナ関連]マル経融資(小規模事業者経営改善資金)及び[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付の申込期限並びに[新型コロナ関連]農林漁業セーフティネット資金の融資決定期限が令和5年9月末まで延長されました。″
引用:https://www.jfc.go.jp/

新型コロナウイルス感染症特別貸付とは?

日本政策金融公庫がコロナの影響を受けて売上等が減少した方を対象として、融資後3年間までは基準金利から0.9パーセントの引き下げが適用される融資制度です。いままでは、要件に該当していれば、通常の融資審査より緩和された審査により、コロナの影響を受けた事業者の財務基盤を支援してきた制度になります。具体的な内容の以下の通りです。

対象者 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方

  • 次のいずれかに該当する方
    1. (1)最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方
    2. (2)業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
      ア 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
      イ 令和元年12月の売上高
      ウ 令和元年10月から12月の平均売上高
  • 債務負担が重くなっている方(注1)
融資限度額 8,000万円(別枠)
利率(年) 基準利率
ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
担保・保証 担保:無担保
保証:別途相談

引用元:日本政策金融公庫HP 

コロナ融資の期限が延長

日本政策金融公庫のコロナ融資である「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は期限が延長されました。しかし、従前あった中小基盤政策機構からの利子補給制度は2022年9月で終了しています。また、保証協会の保証つきのコロナ融資である「セーフティネット保証4号・5号」借入も同様に期限が延長しています。

●新型コロナウイルス感染症特別貸付
⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年9月末まで●セーフティネット保証4号
⇒ 2022年12月末まで ⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年6月末まで●セーフティネット保証5号
⇒  2022年12月末まで ⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年6月末まで●(参考)伴走支援型特別保証制度(コロナ借換保証制度)
⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2024年3月末まで ⇒ 2024年3月末まで

セーフティネット4号・5号は2023年6月末まで、新型コロナウイルス感染症特別貸付は2023年9月末まで、伴走支援型特別保証制度(コロナ借換保証制度)は2024年3月末までと、再度期限が延長されています。新型コロナや物価高の影響を受け、資金繰りに苦しむ事業者にとってかなりの朗報でしょう。

しかし、コロナ融資の制度が継続されたからといって、審査が甘くなるわけではありません。たしかに通常の融資よりは緩やかかもしれませんが、コロナの時のような「何でもOK」な審査にはなりません。

とくに2度目の申請の場合は、「返済可能性の根拠」を詳しく聞かれます。説得力のある資料がなければ、コロナ融資といえども審査に通るのは難しいでしょう。

そんな根拠資料をすべてを中小企業経営者の方がご自身でご準備することは難しい方は、周りの専門家に作成をご依頼することをお勧めいたします。私たち専門家が作成する資料の出来次第で、審査が通るかどうかが大きく変わります。

東京都世田谷区で開業する方向けの創業融資

 

今回は、東京都世田谷区で創業を考えている方または創業1年以内という方向けに、世田谷区の制度融資について紹介していきます。

 

世田谷区の創業融資

 

世田谷区で開業する方が創業融資の選択肢として考えたいのは、「日本政策金融公庫の創業融資」と「世田谷区の制度融資」です。

 

日本政策公庫の創業融資

 

日本政策公庫とは、100%政府が出資する公的な金融機関であり、国の施策に基づいた融資や保証、資金調達の支援を行い、中小企業や地方自治体の施策にも積極的に協力しています。そのため、創業者にも積極的に融資を行っていますので、創業融資を受ける際にはまずは検討したい機関です。

 

全国に152支店(令和5年3月時点)あり、本店所在地のお近くの支店に申し込むことになりますが、世田谷区で事業を行う方は、渋谷支店が管轄となります。

 

制度融資とは?

 

制度融資とは、地方自治体(都道府県や市区町村)が金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度のことです。創業者が金融機関へ支払う利息や信用保証協会へ支払う保証料を地方自治体が補助することで、創業者がお金を借りやすいようサポートしています。

 

制度融資は各自治体によって条件が異なります。
ここからは、世田谷区の制度融資について紹介していきます。

 

世田谷区の制度融資

 

世田谷区の制度融資は、正式名称を「世田谷区中小企業融資あっせん制度」といいます。

 

世田谷区が金融機関に対して創業者を「あっせん」することで、創業者は好条件で融資が受けられるという制度です。

 

融資対象者

 

制度融資の対象となるのは以下の方です。

 

  法人 個人
創業前 ・本店登記及び主たる事業所を区内に設けて創業しようとする方 ・主たる事業所を区内に設けて創業しようとする方
創業後

・本店登記及び主たる事業所を区内に設けて、申込日現在、創業後1年未満の方
・法人都民税及び法人事業税を滞納していないこと

・主たる事業所を区内に設けて創業後1年未満である方 ・個人事業税を滞納していないこと

 

ここでいう申込日とは、事業計画書が完成し、あっせん申込書に記載する日にちを言います。また、創業した日は法人であれば、設立登記をした設立年月日をいい、個人は「個人事業の開業・廃業等届出書」に記入した開業日です。

 

その他、以下の要件にも全て当てはまる必要があります。

 

・住民税の滞納がないこと
・東京信用保証協会の保証対象業種であること
・許認可等を必要とする業種の場合は、その許認可等を受けていること
・融資あっせんを受ける資金の使途が適正であり、かつ、資金及び資金にかかる利子につき十分な返済能力を有すること

 

融資条件

 

限度額 2,000万円
利息

0.1 % 

保証料 東京都の制度融資要件に合えば1/2
返済期間 7年以内(据置1年以内)
担保 場合による
保証人 法人:原則として代表者個人
個人:原則不要

 

日本政策金融公庫の融資が利率2.5~3%程度なのに対して、世田谷区の制度融資は、0.1%という非常に低い優遇された利率が特徴です。

 

制度融資の場合は、信用保証協会による保証が付くので、利息とは別に保証料を支払わなければいけません。保証料は通常1%弱程度ですが、世田谷区の制度融資を利用すれば東京都の保証料補助が受けられるので、保証料負担は2分の1で済みます。そのため、利息+保証料で考えて、調達コストは公庫の融資よりも低くなります。

 

制度融資の利用の流れ

 

①あっせん要件確認

 

世田谷区産業振興公社(以下、「公社」)に相談日時を予約のうえ、来所します。
公社相談員(中小企業診断士)が、創業支援資金あっせんの申込要件に該当するか否かを確認します。

 

※世田谷区産業振興公社の住所:
世田谷区太鼓同2-16-7(世田谷産業プラザ4階)

 

②公社相談員との面談(4回程度)

 

公社相談員の支援を受けつつ、創業者自身で創業計画書を作成します。並行して取扱金融機関に区の制度で創業融資あっせんを申し込む予定であること伝え、相談します。創業者が自分で金融機関を選んで、担当者に申し込むことの了承を得ておくことがポイントになります。

 

※曜日ごとに担当の創業相談員は決まっています。相談は、おおよそ4回程度で、申込者本人以外はできません。

 

③融資あっせん書の交付

 

公社から創業者へ融資あっせん書が渡されますので、相談した金融機関へ提出します。金融機関からの代理申請の場合もありますが、創業融資の場合は、創業者が自分で金融機関へ提出することが多いです。

 

④金融機関及び信用保証協会の審査・融資の可否決定

 

金融機関または東京信用保証協会が融資実行の可否等を決定し、申込者に通知します。

 

⑤融資可否等結果報告

 

金融機関は公社へ融資の可否等結果を回答します。

 

⑥利子補給

 

融資が無事に通ったら、区が利子の一部を補助します。

 

ここで注意すべきポイントは、①から③まで、通常は3か月程度かかるということです。
したがって、「今すぐにお金が欲しい」という方には、向きません。事前準備がしっかりできる方は、挑戦してみると良いでしょう。

 

制度融資のメリット・デメリット

 

メリット

 

資金調達コストが安い

 

公庫の融資と比べても利息及び保証料といった調達コストをかなり抑えることができます。他の融資にはないメリットといえるでしょう。

 

創業助成金の申込対象となる

 

東京都の制度で、創業者が上限300万円を貰える「創業助成金」という助成金があります。
創業助成金は申請要件があって誰でも申し込めるものではありませんが、要件の一つに、「制度融資を利用している」というものがあります。

 

デメリット

 

手間と時間がかかる

 

最大のデメリットが、融資実行までに時間と手間がかかるという点です。
あっせん書を出してもらうまでに世田谷区の公社に5~6回程度足を運んで、何度も相談員と面談を重ねなくてはいけません。

 

公庫の融資の場合は申し込みから3週間程度で入金まで進みますが、制度融資ですと3か月程度かかってしまいます。

 

また、必要な書類も多く、世田谷区・金融機関・信用保証協会それぞれ求めてくる書類も異なりますので、かなりの手間がかかります。

 

まずは公庫で融資を受けておいて、後から制度融資も利用するという進め方もアリかと思います。

 

新設法人が銀行口座をスムーズに作る秘訣

申込

最近、「銀行口座が作れない」という新設法人からの相談が増えています。

以前は新設法人が金融機関で法人口座を作るのは、さほど難しくありませんでした。が、今はハードルが上がっています。法人口座を作ることができなければ、創業融資を借りることもできません。

今回は、「新設法人が法人口座をスムーズに作る方法」についてお伝えいたします。

※本情報での「銀行口座」は「銀行や信用金庫・信用組合の普通預金口座」です。便宜的に「銀行口座」と表記しています

1.法人口座を作るためには申し込む金融機関選びが重要

「法人口座が作れない」と相談する経営者の多くは、「都市銀行」「大手地方銀行」に申し込んでいます。設立間もない新設法人が都市銀行や大手地方銀行で法人口座を申し込んで断られるのは、実は一般的なことなのです。なぜなら、都市銀行や大手地方銀行は、比較的小規模の新設法人との取引にメリットを見いだしにくいため、断るケースが多くなります。

2.地域密着型金融機関を訪問しよう

一方、第二地方銀行、信用金庫、信用組合などの「地域密着型金融機関」では、新設法人の法人口座開設のハードルは低めです。都市銀行や大手地方銀行は小規模の新設法人との新規取引に慎重ですが、地域密着型金融機関にとって規模は大きな問題ではありません。むしろ「ちょうどよい大きさの企業」として、上手につきあうことで取引深耕が図れる相手として見てくれます。

地域密着型金融機関なら新設法人でも、法人口座を開設してくれる可能性は高いのです。

まずは第二地方銀行、信用金庫や信用公庫などの地域密着型金融機関に口座開設の相談を行きましょう。

3.法人口座開設を断られやすい企業とは

とはいえ地域密着型金融機関なら、かならず法人口座を作ることができる…とは限りません。

もちろん地域密着型金融機関も法人口座開設の審査を行うのですが、審査の過程で断られる可能性が高いのは、「登記している本店の住所がレンタルオフィスやバーチャルオフィス」「固定電話がない」「ホームページがない」「資本金が少額」「法人登記されている住所と、実際に事業を行っている場所が一致しない」「事務所の賃貸借契約書がない」「事業内容が不明瞭」といった「事業実態がないのでは?」と疑われる可能性の高い法人です。

4.事前に準備しておけば口座開設に有利になる資料・行動

以下の資料を準備したり、行動することで、口座開設に有利に働きます。

  • 事業計画書
    「どのような事業を行う会社なのか」を金融機関が把握することができます。事業を計画に行なっているという経営実態も確認することができます。
  • 会社案内やホームページを印刷したもの
    運営実態、また事業への本気度を伝えることができ、事業実態を把握できます。
  • 賃貸借契約書
    会社の運営実態を明確に証明することができます。上記の通り、レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは、事業を行っている場所としての実態が不明確なので、口座開設は難しいですが、個室を借りている場合は事業場所が特定できるため、問題にならないです。
    また、自宅をオフィスとしている場合は、自宅の賃貸契約で住居のみとなっていないか等を確認されることがあります。
  • 社長が事業実態を自分の言葉で説明
    口座開設の申し込みを行うにあたって、社長自らが経営を行っていることを示すことが、銀行側の審査をクリアするには大前提となります。

開業時に使える補助金3選

補助金・助成金とは、国や自治体等が、政策目標の実現を目的に政策目的に合った取組みを支援するために提供する返済する必要のない資金のことです。

省庁等で呼称が異なりますが、補助金と助成金はほぼ同じ意味になります。

新型コロナ感染症対策をきっかけに各関連省庁や自治体から、いろいろな補助金等が公表されており、その情報収集だけも大変という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、特に新規開業時に特に「使える」補助金のうちから3つ厳選して、まとめて行きたいと思います。

この記事は、以下のような目的に補助金・助成金を活用したい方向けになります。
・東京都で創業したい!別事業をやりたい!!
・展示会をやりたい!
・販促物を作りたい!販路開拓したい!
・新サービスを創りたい!
・地域資源を活用した商品開発をしたい!
・設備投資をしたい!省電力の設備に変えたい!

以下は概要になりますので、詳細は各制度の内容は公募要領等の関係省庁の公式情報を確認してください。

1.小規模事業者持続化補助金(創業枠)

  • :模事業者(業種によるが従業員5人~20人以下)
  • 補助率: 2/3
  • 補助上限:50万円(創業枠→200万円へUP)
  • インボイス枠:要件満たしていれば補助上限にさらに50万円上乗せ!

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画を作成して、それに基づいた地道な販路開拓や業務効率化をすることを応援するための補助金として2020年から設けられています。コロナウィルス感染症対策の特別枠など、その時の経済環境に応じて、追加カスタイマイズされながら補助金の範囲や支給額が変更されています。

創業者の方は、この中でも「創業枠」を目指すことをお勧めします。創業枠で申請することにより、補助上限額が200万円へ大幅に引き上げられます。200万円ということは、200万円÷2/3=300万円までの事業経費を対象経費とすることができます。

少しハードルとなるのは、創業枠の要件である『産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者であること。』ということ。

つまり、ざっくり簡単に言ってしまえば、東京都であれば23区や市で実施している創業塾や勉強会に参加して証明書をもらっていることが要件になります。少し時間はかかりますが、創業に係る知識やノウハウを学ぶことができる良い機会ですので、チャレンジする価値はあります。

また、インボイス制度を受けて、免税事業者から課税事業者に変更される事業者はさらに補助上限額を50万円上乗せされる可能性があります。

  • インボイス枠の要件
    2021 年 9 月 30 日から 2023 年 9 月 30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の応募締切は、第 12 回:2023年6月1日(木)
※ 公募要領
小規模事業者持続化補助金<一般型>第 12 回公募 公募要領

2.ものづくり・商業・サービス補助金(通常枠・創業加算)

  • : 中小企業者(形態・業種によるが資本金5,000万円~3億円以下、従業員数50人~900人以下)
  • 補助率: 2/3(小規模企業者・小規模事業者等の場合)
  • 補助金額:100万円~750万円(従業員数 5 人以下の時)
  • 創業者向けの政策加点
    ・会社設立(開業)日から5年以内の事業者
    J-StartupJ-Startup地域版に認定された事業者
    健康経営優良法人に認定された事業者
  • 申請要件
    ・以下の条件を満たす3年から5年の事業計画作成

    • 給与支給総額 +1.5%/年以上
    • 事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上
    • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、通称、「ものづくり補助金」を呼ばれています。中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

小規模事業者持続化補助金より、規模が大きくなる事業者を主なスコープとした補助金とはなりますが、創業者向けの政策加点があり、審査上、有利になるため、こちらの補助金を創業後早い段階での事業資金として申請するケースもあります。

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の応募締切は、2023年4月11日(水)17時
※来年度は、年4回の募集がある予定
最新公募要領
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分)

3.創業助成事業(東京都)

  • : 都内での創業を具体的に計画している個人又は創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方
  • 補助率: 2/3
  • 補助上限:300万円
  • 補助経費項目:従業員人件費・賃借料・広報費・備品・産業財産権出願費
  • 補助要件:
    • 独立して5年以内
    • 都の創業支援施策をどれか1つ以上利用申請要件

東京都も都内開業率は約4.8%(令和元年度)と、諸外国に比べ、低い開業率を押し上げるために、施策を打ち出しています。その1つが、この創業助成事業であり、東京都で創業を希望する人へ着実な支援を行って都内開業率の向上を図ることを目標に掲げております。

19個の東京都の創業助成事業から1つの利用が必要になります。こちらも、準備期間にそれなりの時間が要しますが、得るものは多いため、挑戦してもよいかもしれません。

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の公募開始と締め切り:2023年4月11~20日
※例年4・10月に募集
応募方法:郵送 (令和5年度から電子申請での受付も開始)

 

2023年4月から金融機関の「経営者保証」への対応が変わります!

契約

金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいて、金融機関に対して監督・指導を行っています。2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため「経営者保証改革プログラム」(https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html)を公表しました。

その流れを受けて金融庁は2023年4月から「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改定し、各金融機関が「融資の際、経営者保証を徴求しない流れ」を作ろうとしています。この流れにうまく乗ることができれば、新規融資の際に経営者保証をしなくてすむようになります。また、現在差し入れている経営者保証の解除も可能になります。

1.経営者保証を要求する場合、金融機関には説明義務が生じます

2023年4月から、融資実行時に「経営者保証」を徴求する場合、金融機関は

以下の2点について説明する義務が発生します。

 ① どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか

 ② どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか

 

2.経営者保証が必要だと言われたら説明を求めることができるようになります

融資の際に金融機関から「経営者保証」を求められたにもかかわらず、「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか」の説明がない場合は、説明を求めることができます。同時に、「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」についての説明を求めることができるようになるので、その説明を明確に聞くことができれば、金融機関が指摘する点を改善することができれば「経営者保証の解除」を求めることができるようになります。

 

3.説明を求めても説明してもらえない場合の対処法

2023年4月から金融庁には「経営者保証専用窓口」が設置されます。金融機関から「経営者保証徴求の際の説明がない」場合、 「経営者保証専用窓口」に相談すると、金融庁から当該金融機関に対し、指導が入ることになります。

 

4.いきなり「経営者保証相談窓口」に相談することは避けましょう

ただ、融資実行の際に担当者から経営者保証に関する相談がない場合、いきなり「経営者保証相談窓口」に駆け込むのは避けましょう。そうしてしまうと、支店や金融機関の立場がなくなってしまいます。

まずは、支店長や貸付の責任者に相談してください。担当者の知識不足のために説明がないことは十分考えられます。支店長や貸付の責任者なら、説明義務についてよく理解しているので、きちんと説明してくれるでしょう。それでも説明がない場合は、本部の「お客様相談窓口」に相談し、それでも説明がない場合に限り、「経営者保証相談窓口」に相談するという手順をとってください。いらぬトラブルを避けることができます。

 

創業したいと考えたときにしておくべき9つのこと

将来を見通す

「ビジネスを始めてみよう!」と思って一念発起、とりあえず創業したものの、やってみると「これ準備しておくべきだったなぁ」と思うことばかりで、なかなか事業を軌道に乗せることができない。。ということは、よくある話です。

では、創業準備は何から始めたらいいのだろうか?
いま、別の本業に従事している方でもその仕事を続けながら、並行してできることは意外とたくさんあります。

今回は、創業準備でやるべきことを9つのポイントにまとめてを解説していきたいと思います。

1.創業日を決める

一番に最初にするべきことは、「いつ創業するのか」を決めることです。仮でもいいです。具体的な日を決めてください。そうしないと、創業はどんどん先送りになります。創業日を具体的に決めることで、「今、何をしておかなくてはならないのか」を強く認識することができます。創業準備に充てられる時間は、そう多くありません。創業日から逆算して、「どのタイミングで、何をすべきか」をきちんと把握しておく必要があります。

2.家族の理解を得る

日本では、まだ「創業する」=「危ないこと」という印象があり、客観的評価があまり高くありません。例えば、関係性の薄い友人ならば「会社を辞めて創業しようと思っている」と言った場合でも、「それはいいね」と肯定的に答えてくれるかもしれません。しかし、身内が「創業したい」と言ってきた場合、ほとんどの方が、「大丈夫なの?そんな危ないことはやめておきなさい。人間、安定が一番」と言って反対されたりします。身内に反対されているような状態では、創業はほぼ失敗してしまいます。まずは身内の理解を得て、味方につけましょう。味方になってくれれば、最も心強い応援団となってくれるでしょう。

3.自己資金を貯める

創業に必要な資金を全部自分で準備できる人は、そう多くはいません。足りない分は、日本政策金融公庫や、銀行・信用金庫・信用組合といった金融機関から借りる必要があります。創業資金を借りる上で重要なのが「自己資金の額」。自己資金が多ければ金融機関から融資してもらいやすくなります。また、自己資金が多ければ多いほど借りられる金額も多くなります。まずは、創業に必要な資金の3割程度は貯めておきましょう。
また、最初から利益を稼ぐのは難しいことは往々にしてあります。一方で、現実問題として生活もしていかなければなりませんから、最低1年程度の生活費も貯めておくことをお勧めします。ここは時間がかかりますから、早めに手をつけてください。

4. 経営に関する知識・ノウハウを学ぶ

「創業した事業者の3割は1年以内に廃業し、5割は3年以内に廃業する」と、よく言われます。実際には、そこまで廃業率は高くないと思われますが、かなりの割合で廃業する事業者がいるのも事実です。「経営に関する知識」が乏しいため、間違った経営を続けてしまった結果、資金が枯渇して廃業するというパターンに陥ってしまうこともあります。あらかじめ経営に関する知識を持っておいて、うまくいかないときに何をすればよいのか事前に準備しておきましょう。経営に関する知識のうち、具体的には、法務・税務・財務・労務等に関する知識を学ぶことが大事です。

5. 創業する業種に関する経験を積む

金融機関が創業資金を貸す上で重視しているものの一つが、「創業する業種に関する経験」です。経験がない業種で創業しようとする場合、かなり高い確率で断られます。「経験のない業種で創業した事業主が廃業する確率が高い」というデータを金融機関が持っているからです。金融機関は6年程度の経験が望ましいと言いますが、業種にもよります。3年ぐらいの経験があれば、金融機関にその経験を評価してもらうことができます。

6. 人脈を構築する

創業を成功するために作っておくべきなのは、「人脈」。「顧客となり得る人脈」や「顧客を紹介してくれる人脈」「アドバイスを与えてくれる専門家人脈や同業の先輩人脈」「将来、事業パートナーとなりそうな人脈」などをあらかじめ構築しておくことで、いざというとき、その人脈が生きてきます。特に、積極的に見込み顧客や専門家等を紹介してくれそうな「ハブ人脈」を持っている人との関係構築をするのがおすすめです。そういった人たちと、ずっと関係性をつないでおく必要があります。まずは、フェイスブックなどSNSでつながっておくこと。また、自分のブログやメールマガジンなどによる情報発信もお勧めします。でも本当にいいのは、ときどきは実際に会って、リアルな交流を深めていくことです。

7. 創業する業種に関する調査をする

創業に関する業種の成功事例・失敗事例をためておきましょう。自身の創業を成功させるためには、「真似すればプラスになること」「絶対にしてはいけないこと」を知っておく必要があるからです。
そのためには、創業する業種と同業者の視察を積極的に行うこと。視察をする際に気をつけておきたいのは、「提供側としての視点」と「顧客としての視点」、その両方を持って観察することです。たとえば「同業者の商品を買ってみる」「サービスを利用してみる」ことにより、顧客としての気づきが得られますし、そこにプラスアルファするアイデアが見つかることもしばしばです。事前調査をすればするほど成功する確率は高まりますので、創業するまでに30社程度は調査しておいてください。その調査レポートを出すことで、金融機関からの評価は格段に高くなります。「ここまで調査するなんて、この創業者、本気だな」と思われて、融資してもらいやすくなるからです。

8. 事業計画をつくる

「事業計画書」も、金融機関が創業資金を貸す上で重視しているものの一つです。多少、自己資金が少なくても、その業種に関する経験が乏しくても、しっかりした事業計画書を作成しておくと、融資してもらえたという事例はたくさんあります。創業を成功させるための事業計画書づくりのコツは、「何度も書き直すこと」。最初は、粗い事業計画書でも構いません。それを創業日までに、徹底的にブラッシュアップしていけばいいのです。早い段階で事業計画書づくりに着手しておくと、創業に関するモチベーションも日々高まってくるでしょうし、毎日の過ごし方も変わってきます。

9. クレジットカードの作成

創業したばかりのときは、クレジットカードの審査に通りにくいものです。すでにクレジットカードを持っている方でも、プライベート用のクレジットカードと別にビジネス用のクレジットカードを独立する前に作成しておくことをお勧めします。いまあるクレジットカードを使えばいいのではないか?と思われる方もいますが、プライベート用と事業用の経費支払いを明細見ながら、分別する必要があり、無駄な作業時間が生まれます。

 

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

2023年1月10日から新しい信用保証制度(コロナ借換保証)が開始されました。新型コロナウイルス感染症の影響で債務増大した中小企業の収益力改善を支援するために、借換え需要や新たな資金需要にも対応するためのものです。

一定の要件を満たした中小企業が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借換時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

1.コロナ借換保証制度の概要

  •  保証限度額 : 1億円
  •  保証期間   : 10年以内
  •  据置期間   : 5年以内
  •  金利   : 金融機関所定
  •  保証料   : 0.2%等(補助前は0.85%)
  •  要件

⮚「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」もしくは「セーフティネット4号または5号の認定取得」

⮚「金融機関による伴走支援」

⮚「経営行動計画書の作成」

2.ここが変わった!

以前までの「伴走支援型特別保証制度」においては、「前年同月比売上」が15%以上減少という利用要件が、今回は「5%以上減少」と緩和されています。さらには、利益率が5%以上低下している場合にも適用が可能です。売上は増加しても、利益が減少している事業者も利用しやすくなったのは有難い緩和です。利益率の低下は、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」のどちらかが要件をクリアしていればOKです。

3.注意点:保証料は「0.2%」ではない

保証料率0.2%というのは非常に低い保証料率です。しかし、よく見ると「0.2%」ではなく「0.2%等」と「等」がついているのです。これは、コロナ借換保証の保証料が「0.2%」ではないことを意味します。

コロナ借換保証の要件として、「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」と「セーフティネット4号または5号の認定取得」とあります。この場合は、いずれも保証料は0.2%です。「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」で「コロナ借換保証」を利用する場合は、保証料は0.2%ではなく、0.2%~1.15%となりますのでご注意ください。

「コロナ借換保証制度」は「民間金融機関によるゼロゼロ融資」の借り換えに利用出来ます。返済に悩んでいる方は、借入を行った銀行または信用保証協会に相談に行かれることをお勧めします。

決算書の内容が悪くても、融資をしてもらう中小企業になる方法

「事業が軌道に乗り始めているが、まだ赤字が続いている。」
「社長自らの会社へ貸付を行っており、まだ債務超過の超過になっている。」

そのような、一見、決算書の″見た目″が悪いからといって、融資は難しいのでは?と諦めていないでしょうか。
確かに決算書は融資審査において最重要項目の1つではありますが、会社の稼ぐ力は決算書だけでは、推し量れない部分があります。

今回は決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきたいと思います。

金融検査マニュアル廃止

20 年前に、不良債権問題が深刻化し、国内大手金融機関の破綻が相次いだことから、金融庁はその前身である金融監督庁として発足しました。10 年前には、サブプライムローン問題を発端として、アメリカ大手投資銀行が破綻し、これに連鎖してグローバルな金融危機が発生しました。

それらの危機を乗り越えるために、金融庁は金融機関に対し、いろいろな指導・監督を行ってきました。

そのために、金融機関を監督・指導していくためのツールとして、金融検査マニュアルを使用していました。

金融機関は、金融検査マニュアルに従って、取引先顧客の格付けを行い、格付けの低いところには、融資ができませんでした。なので、以前は、財務内容が悪く、しっかりした担保や保証人がない企業は、なかなか融資をしてもらえなかったのです。その金融検査マニュアルが、廃止になり、金融庁の指導方針が大きく変わりました。

金融機関の融資方針はどう変わるか

金融検査マニュアルが廃止されると、金融機関は格付けに基づく融資(決算書や担保・保証人を重視した融資)を行うのではなく、その企業の事業性や将来性、成長可能性を重視した事業性評価融資による、融資を積極的に取り組むようになります。

自分たちの企業の事業性や、将来性、成長可能性を金融機関に把握してもらえれば、決算書の内容が悪くても、融資をしてもらいやすくなります。

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになる方法

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになるには、自分たちがしなければならないことがあります。

1.事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

2.事業計画書を作成しておくこと

3.金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、どのような融資方針でいるのか把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。

“事業性評価融資”に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

“事業性評価融資”とは、「財務内容や担保・保証人に過度に依存せず、取引先企業の「事業性」や「将来性」、「成長可能性」を評価した融資」のことを言います。たとえ、財務内容が悪くても、自社の将来性や成長可能性があるのであれば、事業性評価融資をしてもらえるようになります。

ただし、まだ、事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関は、そう多くはありません。事業性評価融資をしてもらうためには、積極的に取り組んでいる金融機関との取引は必要不可欠です。

事業計画書を作成しておくこと

金融機関が事業性評価融資を行うためには、金融機関自体が取引先企業の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を把握しておく必要があります。その為に、金融機関の担当者は、取引先企業に対して、何十時間ものヒアリングを行う必要がありますが、普段でも、仕事に追いまくられている担当者には、そんな時間はありません。少しでも、担当者の負担を軽減してあげることができれば、事業性評価融資を行ってもらえる可能性は高くなります。

自社の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を伝えるのにうってつけなのが「事業計画書」です。知り合いの士業やコンサルタントに協力してもらい、「事業計画書」を作成しておきましょう。

 金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、財務内容のあまり良くない取引先の事業性評価融資を行う際に、とても重要になるのが、担当者や貸付責任者、支店長の「熱意」です。

「この会社は、何としてでも応援したい」と思ってもらえれば、熱心に取り組んでもらえることができます。まずは、金融機関との良好な関係を構築するようにしておきましょう。

 

今回は、決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきました。しっかりした準備をして、資金調達力を高め、安定した成長基盤を作っていきましょう。

今、どれぐらいの金額を金融機関から借りることができるのか?

中小企業の経営を行っていく上で、非常に重要なテーマである「融資」。
しかし、足りないときに、銀行に行っても簡単に貸してくれません。
日ごろから、「どれぐらいの金額を金融機関から借りるのか?」を知っておくのが肝要です。

今回は、「金融機関が考える借入限度額の目安」の計算方法についてお伝えします。

1償還年数から計算する

計算式 : (税引後当期純利益 + 減価償却費) × 10

償還年数とは、債務をすべて返済するのに必要な年数で、債務を年間返済可能額(税引後当期純利益+減価償却費)で割ることで計算できます。

税引後当期純利益とは、損益計算書ですべての収益から費用や税金を控除して計算される最終的な儲けの部分のことです。

担保や保証人の有無、取引年数、取引先との関係性を考慮しない場合、金融機関はこの1年分の儲けを10年間続けて返済していく金額を貸出可能金額と考えるわけですね。

通常、償還年数の適正な水準は5年以内ですが、一般的に融資限度額を計算する場合は、償還年数を10年で考えます。

2月商や年商(月商倍率)から計算する

計算式 : 毎月の売上(年間売上÷12) × 1~6ヶ月

金融機関の人間が、感覚的に用いている「借入限度額の目安」を計算するときに、よく使われる方法です。

借入限度額を月商倍率で計算する場合は、業種業態によって範囲が広がるが、だいたい、月商の1~6ヵ月を目安としています。

季節連動があり、毎月の売上高大きく変動する業種・業態もあります。その場合は、年間売上高から平均月商を計算します。

営業利益率や経常利益率の高い業種の場合は、長い期間(5~6ヶ月)で計算しますし、低い業種の場合は、短い期間(1~2ヶ月)で計算します。

3経常利益から計算する

計算式 : 過去3年分の経常利益の平均 × 50% × 7

融資に対して、厳しめの対応をする金融機関の場合、こちらの計算方法を使って、融資限度額の目安を計算します。

経常利益とは、その会社の主たるビジネスの儲け(=営業利益)に、毎年生じる金融取引(利息等)や賃貸取引等の副業的なビジネスの部分の儲けを加減することで計算されます。

この「経常利益の50%」というのは、さらに税金支払いを考慮した金額であり、「税引後当期純利益」に近い数字になっています。上記「1」や「2」の計算方法に比べて、少なめの数字になります。

経常利益が右肩上がりになっている場合は、後ろの倍率が7倍より増えてきますし、右肩下がりになっている場合は、7倍より少なくなります。

4.まとめ

こういった金融機関の考え方を、ある程度把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。また、上記の計算から求められる資金調達力を高めていくことが目標になります。

 

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