経営者保証を外してもらうためにする6つのポイント

やはり「経営者保証を外したい」という経営者のニーズは高いでしょう。

金融庁の「企業アンケート調査の結果」によると、およそ7割の企業が「借入金の金利が上がったとしても経営者保証を解除したい」と回答しており、仮に経営者保証の解除ができるのであれば、借入金の金利が上昇してもよいと考える方が相当数いるようです。

全国銀行協会と日本商工会議所は、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を応援するために「経営者保証に関するガイドライン」を公表しています。

また、2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させていくため「経営者保証改革プログラム」を公表しています。そのことは以下の過去のブログでも触れました。

2023年4月から金融機関の「経営者保証」への対応が変わります!

これからは、経営者保証を今までより外しやすくなります!

私たち士業・コンサルタントの側からも経営者保証解除のお手伝いがやりやすくなったと思います。

ガイドラインに基づくと、経営者保証を解除するためのポイントは以下の6つです!

1)会社のお金と個人のお金をごっちゃにしない

法人と個人の資金が明確に分離されていない場合、金融機関からは法人に貸したお金が個人の資金として使われている可能性があり、経営者の個人保証を外すのは難しいと判断されることになります。

法人と個人のお金を混同しないためには、個人と法人の支払方法を区分する、口座を明確にわける等のお金の管理方法に関して一定のルールを決めて実行すること重要です。

また、役員報酬・賞与や配当、オーナーへの貸付等について社会通念上の範囲であることや税務等のルールに従って、決定する体制を整備する必要があります。

2)損益計算書:大幅な利益を出す

もちろん不正等の会計基準等に従っていない不適切な処理は問題があります。そういったルールに従った範囲で、利益が十分に出ていることが必要な資金を円滑に調達するためには寛容です。それにより返済能力があると金融機関からは評価され、信用力が向上します。

3)貸借対照表:役員貸付金等の科目を作らない。自己資本比率を高める

貸借対照表で、資金使途が不明確な仮払金や役員貸付金等は金融機関からの評価が低くなる可能性があります。また、自己資本比率が高ければ金融機関としては経営者保証を外すことにリスクはないと評価できることになります。自己資本比率を高めていくことで、信用力が高まります。

4)事業計画書を作成する

経営者は事業計画や業績見通しを作成することで、計画的に事業を実行することができます。確かに計画通りにうまくいくことはあまりないかもしれませんが、計画を立てなければ、目標を達成するのは非常に難しいでしょう。

5)定期的に金融機関に業績報告を行う

事業計画等を作成したうえで、事業計画の説明・進捗状況等の説明を金融機関に対して、積極的に定期的に報告していきましょう。また、事業計画・業績見通し等に変更が生じた場合にも、自発的に報告するなど適時適切な情報開示に努めます。

その定期的な情報開示を通して、経営の透明性を確保することができれば金融機関と良い連携が取れて、経営者保証に頼らない融資の実行が可能になります。

6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける

『開示情報の信頼性の向上の観点から、外部専門家による情報の検証を行い、その検証結果と合わせた開示が望ましい。また、こうした整備・運用の状況について、外部専門家(公認会計士、税理士等をいう。以下同じ。)による検証を実施し、その結果を、対象債権者に適切に開示することが望ましい。』と「経営者保証に関するガイドライン」にはあります。

どうしても、法人と個人の資金分離のルールを決めて実行したり、事業計画の作成・運用を一人でやるのは大変かと思います。しっかりサポートしてくれる外部専門家を見つけて頼っていくことが近道かと思います。

 

「経営者保証に関するガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、金融庁も積極的に後押しをしていることもあり、以前よりは、活用件数が増えてきています

上記6項目を満たすことで、保証人を外しやすくなるということになっています。

そのために、まず、必要なのは、「(6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける」ことです。しっかりした専門家がサポートしていれば、(1)~(5)の項目は、自然とできるようになります。

25万円の補助金を受けながら専門家と一緒に事業計画を作成する方法【早期経営改善計画策定支援事業】

早期経営改善計画は、事業計画書(経営改善計画書)作成を支援する専門家報酬の3分の2(上限25万円)を支援してもらえる補助金です。

資金繰りが苦しくなって追加で融資を受けようと思っても、コロナ融資の時には比較的簡単に融資できたけれども、いまとなっては公庫や信用保証協会も簡単には応じてくれません。そういったとき、経営改善のための事業計画書(経営改善計画書)を提出する必要があります。

ところが、事業運営で忙しい経営者であればあるほど、経営改善計画書を自分ひとりで作成することは難しく、経営改善計画書に記載する内容や、かならず添付すべき「資金繰り計画表」を作り上げるのはなかなか難しいでしょう。

つまり、金融機関が求める経営改善計画書の作成には、専門家によるサポートが必須といえます。しかしながら、資金繰りに困っている経営者にとって、専門家へ支払う資金を捻出することも、それは簡単ではありません。そこで利用するのが、この補助金になります。

今回は、この早期経営改善計画について、利用シーンや流れについてまとめていきたいと思います。

1.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用が考えられる事業者

●コロナの影響などで資金繰りが不安定になっている事業者
●売上が減少し、先行きが分からず不安がある事業者
●自社の状況を客観的に把握し、今後のアクションプランを整理したい事業者
●専門家のサポートを受けたいが、いきなり高額の費用は払えないため、まずは1度お試しで計画を作りたいと考えている事業者
2度目のコロナ融資を申請しようとしている事業者
既存債務の返済ができないため、リスケ(返済額減額)を希望している事業者

2.「早期経営改善計画策定支援事業」の利用ができない事業者

過去に中小企業活性化協議会事業又は経営改善計画策定支援若しくは早期経営改
善計画策定支援を利用した事業者の方は対象外なので、注意が必要です。

ただし、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等の影響で業況が悪化した場合であれば、過去に経営改善計画策定支援や早期経営改善計画策定支援を利用している場合であっても、2023 年度中は2回目の申請がOKとなりました。

3.受けられる補助金

(1)経営改善計画策定支援費用(補助率2/3、上限15万円)
(2)伴走支援費用(期中)(補助率2/3、上限5万円)
(3)伴走支援費用(期末)(補助率2/3、上限5万円)

「伴走支援費用」とは、経営作成後の計画進捗状況確認のフォローアップを行うための費用「モニタリング費用」のことです。現在の制度では、「計画策定1年後に計画進捗状況確認のフォローアップ」を期末に行う際の補助金に加え、事業者が希望する場合、期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」を行う際の補助金も支給されます。期中での「計画進捗状況確認のフォローアップ」については1回限りではなく、複数回利用できることで、よりきめ細かいフォローアップをしてもらえる補助金になっています。

4.手続きの流れ


引用元:東京都中小企業活性化協議会HP

早期経営改善計画の流れを次の7つのステップで説明します。

【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】

①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援

⑦モニタリング

①相談・事前相談書の受け取り

まず、経営者と認定支援機関である税理士などの外部専門家が早期経営改善計画の適用を決めた後に、金融機関に対し、事前相談をします。

金融機関からは「事前に相談を受けた」ことを明記した「事前相談書」を入手します。

「事前相談書」は自分で作って金融機関に持参しても問題ありません。スムーズに早期経営改善計画のスタートができるように自分で作成して持ち込みましょう。

②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り

税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業利用申請書(早期経営改善計画)」を、経営改善支援センターに提出します。

また①で入手した「事前相談書」もあわせて提出します。

③計画策定を支援

外部専門家は中小企業・小規模事業者の早期経営改善計画書策定に向けた支援を実施します。

その際に作成する成果物は以下のものになります。

【早期経営改善計画書】
☑ ビジネスモデル俯瞰図
☑ 資金実績・計画表
☑ 損益計画
☑ アクションプラン

④計画提出・受取書等の受け取り

外部専門家と中小企業・小規模事業者が作成した早期経営改善計画を金融機関に提出します。

その際、金融機関から計画を受け取ったことを明記した「受取書」を取得します。

⑤費用の1/3を支払

中小企業・小規模事業者は、早期経営改善計画の策定費用の1/3を専門家報酬として認定支援機関に支払います。

⑥費用の2/3を支援

経営改善支援センターに対し、税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業費用支払申請書(早期経営改善計画)」を提出します。

その際、④で取得した「受取書」を添付します。

⑦モニタリング

外部専門家は、経営改善計画の記載に基づき事業者のモニタリングを実施し、「モニタリング報告書」を経営改善計画支援センターに提出します。

 

5.注意点

「早期経営改善計画策定支援事業」における補助金は、「認定支援機関」が支援することでもらえる補助金です。「認定支援機関」でない士業・コンサルタントによる支援では、残念ながら補助金対象になりませんのでご注意ください。

弊所は認定支援機関ですので、こちらの早期経営改善計画のお手伝いをすることが可能です。

融資を引き出すためには、「金融機関が求める情報」が必要十分に記載されている事業計画書を作成することが必要ですので、制度利用をご検討されている方はご相談ください。

 

金融機関が不動産融資を行う場合のポイント

事業に関するご相談だけではなく、不動産に関するご相談もお受けすることがあります。経営者の方から「個人財産で不動産投資をしたいのだけど、どうでしょうか?銀行は融資してくれますか?」といったようなご相談です。

事業融資の場合と不動産向け融資の場合は、金融機関の融資のポイントが異なります。今回は、金融機関がどのようなポイントで不動産融資審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえていけば、どのような準備資料を作っておけばいいのかがわかるわけです。

個人向けの不動産融資の種類と注意点

個人の方が行う不動産融資案件の種類とその時の留意点は以下の通りです。

  1. アパート・マンションへの融資
    資産運用の一環として、賃料収入を得るためにアパートやマンションを購入し、賃貸物件として運用するケースです。この場合、必要資金の7割程度しか融資してくれることがないと知っていてください。通常、自己資金が3割必要です。借主の資産内容や取引内容によって前後はしますが、必要資金を 100%融資してもらうことはあり得ません。
  2. サブリースのアパートやマンションへの融資
    サブリース会社がオーナーから賃貸物件を一括して借り上げて、1戸単位で転貸するシステムです。物件の管理や手続き、賃料の回収業務についてはサブリース会社が行い、オーナーには契約内容に応じた家賃が支払われます。 メリットとしては、オーナーが入居退去の手続きや 家賃の集金業務から解放され所有物件の管理業務から解放され、また契約期間中は 一定の家賃がサブリース会社から安定した収入が入ってくるというメリットはあります。
    しかし、注意点としては、家賃が入ってくるのは一定の契約期間だけということです。
    サブリースの契約期間は通常は、20年とか35年とかですが、「10年ごとに見直し」等となっており、物件周辺の状況や空室状況などにより、家賃が下がってくるというリスクはあります。サブリース会社が提示した金額がずっと続くわけではありません。
    また、通常、この取引においては、不動産会社(サブリース会社)と交渉することが多いため、金融機関が不動産会社から聞いてることと、お客さんが不動産会社から聞いてることが相違することを避けるために、直接金融機関と会う場所をセッティングすることも大事です。
  3. 駐車場など事業用物件
    個人の方が 駐車場経営などを行うために事業用物件を取得することがあります 。この場合には土地購入資金や駐車場にするための整備費用などの資金需要が発生することになります。ただ、駐車場用地を買う場合は将来的には別の土地活用を目的にしてるケースもあります。この時は、将来こういう風に土地を活用する予定があるんですよということを金融機関に伝えておくと、金融機関は積極的に土地購入資金に取り組んでくれることがあります。
    また、金融機関は駐車場等の事業用物件の融資の場合は、将来の収支状況を特に気にします。駐車場経営からの収入が不安定ではないか、固定資産税等の支払いを考慮されているか、土地購入後の機械設備の資金なども考慮しているか。また、いざという時のための回収に備えて担保評価額は気にするポイントです。

金融機関の選びのポイント

金融機関としても、企業向けの融資残高が伸び悩む中で長期にわたり、安定した収益が確保できる不動産融資は重要であるということは間違いないです。先日の週刊ダイヤモンド3月4日号には信用金庫・信用組合ランキングが載っており、非常に参考になります。この中でもランキング上位の金融機関は不動産融資を積極的に行っており、参考にしていただけると良いです。

金融機関の不動産融資のポイント

どのようなポイントで審査をしてるのかを解説していきたいと思います。これらのポイントを押さえて、融資資料の作成や心構えをもっておくとよいでしょう。

1. 顧客属性・信用情報

不動産融資でも、顧客属性や信用情報は審査基準の1つになります。確認するのは申込者の年齢や職業、就業形態、年収、勤務地先の情報等です。

年齢に関しては高齢の場合、返済できる期間が短くなってしまうため、不動産融資を受ける場合はハードルが高くなります。また、就業形態も重要で、別の事業や勤め先があるならば継続的・安定的に収入が確保できるかどうかを確認します。年収については、昨今は不正事例もあったため、通帳の原本を確認されるようになっています。加えて、信用情報照会を行い、他社からの借入がある場合は、過去の返済履歴、延滞の有無が判断材料になります。

2.投資物件の資産価値・担保価値

購入資金を融資する金融機関としては、万が一、融資の返済が滞った場合には、担保として土地建物不動産の価格がいくらなのかは知っておく必要があります。この際、担保価値が高ければ融資の可能性も高くなります。資産価値として、金融機関へアピールすべき点は以下この4点になります。

  1. 交通の利便性が良好であるか
  2. 生活する上で利便性が高いか
  3. 災害に強い場所に位置するか
  4. 構造に問題はないか。耐震性、耐火性、遮音性等に優れているか

3.購入予定者の事業経営能力

不動産投資を行う個人も、不動産賃貸業を行う事業者となるわけなので、事業者として人間性も重要な審査基準となっていきます。そのため、キチンと以下の質問には応えられるようにしておく必要があります。

  1. どのような目的で不動産投資を行うのか不動産投資で何を実現したいのか
  2. 大規模投資等をきちんと見据えているか
  3. 何より不動産賃貸業者となる覚悟はできているか

 

「公庫融資借換特例制度」を活用して据置期間を延長する方法

コロナ融資の返済開始が増えるにつけ、「返済したくても今のままでは返済できない。どうにかできませんか」という相談は日に日に増えています。「同額借換」を行うことで、「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばすことができます。

民間金融機関による「コロナ融資」の「同額借換」については、「コロナ借換保証制度」があります。「コロナ借換保証制度」については過去のブログで紹介させていただきました。

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

今回は、これの日本政策金融公庫版、「公庫融資借換特例制度」について解説いたします。

1.前向きに「同額借換」に公庫は応じてくれます。

日本政策金融公庫に対して「同額借換をお願いできませんか」と依頼すると、意外とスムーズに対応してくれることが多いです。

なぜなら、「「公庫融資借換特例制度」という制度があるから」なのです。

2.「公庫融資借換特例制度」の利用が出来るパターン

「公庫借換特例制度」で利用出来るのは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度を利用して借入をしているパターンだけではありません。以下の制度を利用している場合での借換にも適用できます。

  • 「経営環境変化対応資金」
  • 「金融環境変化対応資金」
  • 「東日本大震災復興特別貸付」
  • 「令和元年台風第19号等特別貸付および令和2年7月豪雨特別貸付」
  • 「事業再生・企業再建支援資金」
  • 「事業承継・集約・活性化支援資金」
  • 「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」
  • 「挑戦支援資本強化特別貸付制度」

3.借換によるメリット

この「公庫融資借換特例制度」を利用することでどんなメリットがあるかというと、新型コロナウイルス感染症特別貸付の借入金を借り換える場合、「返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)」となっているため、据置期間が延ばせるというメリットがあります。

というのも、それ以外の制度で借り換える場合は、据置期間は原則1ヶ月以内となっているため、据置期間の繰り延べ効果は望めないのです。既存の融資の返済期間が短い場合、借換を行うことで毎月の返済負担額を減らすことができます。

通常、毎月の返済負担額を減らしたい場合は「リスケ」するしかありませんが、「リスケ」をしてしまうと、信用格付けが落ちてしまうため、新規融資を受け付けてもらえなくなるというデメリットがあります。

しかし、「公庫借換特例制度」での借換では、毎月の返済負担額を減らしても、信用格付けは落ちないので、新規融資が必要な場合も、融資交渉が可能な状態を継続できるのです

4.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は金利が上がる可能性あり

ただ、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては、以前借りいれたタイミングによっては、借り換えることで金利が上がる可能性もありますのでご注意ください。

まずは、現在借りている日本政策金融公庫の支店のご担当者へご相談してください。

新型コロナウィルス感染症特別貸付が2023年9月まで延期されました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に業況が悪化している個人・法人を対象として2020年から開始された新型コロナウィルス感染症特別貸付は、当初2023年3月31日が期限でした。

しかしながら、以下の日本政策金融公庫から公表の通り、2023年9月まで延期されました!

″新型コロナウイルス感染症特別貸付、生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付、[新型コロナ関連]マル経融資(小規模事業者経営改善資金)及び[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付の申込期限並びに[新型コロナ関連]農林漁業セーフティネット資金の融資決定期限が令和5年9月末まで延長されました。″
引用:https://www.jfc.go.jp/

新型コロナウイルス感染症特別貸付とは?

日本政策金融公庫がコロナの影響を受けて売上等が減少した方を対象として、融資後3年間までは基準金利から0.9パーセントの引き下げが適用される融資制度です。いままでは、要件に該当していれば、通常の融資審査より緩和された審査により、コロナの影響を受けた事業者の財務基盤を支援してきた制度になります。具体的な内容の以下の通りです。

対象者 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方

  • 次のいずれかに該当する方
    1. (1)最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方
    2. (2)業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
      ア 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
      イ 令和元年12月の売上高
      ウ 令和元年10月から12月の平均売上高
  • 債務負担が重くなっている方(注1)
融資限度額 8,000万円(別枠)
利率(年) 基準利率
ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
担保・保証 担保:無担保
保証:別途相談

引用元:日本政策金融公庫HP 

コロナ融資の期限が延長

日本政策金融公庫のコロナ融資である「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は期限が延長されました。しかし、従前あった中小基盤政策機構からの利子補給制度は2022年9月で終了しています。また、保証協会の保証つきのコロナ融資である「セーフティネット保証4号・5号」借入も同様に期限が延長しています。

●新型コロナウイルス感染症特別貸付
⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年9月末まで●セーフティネット保証4号
⇒ 2022年12月末まで ⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年6月末まで●セーフティネット保証5号
⇒  2022年12月末まで ⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2023年6月末まで●(参考)伴走支援型特別保証制度(コロナ借換保証制度)
⇒ 2023年3月末まで ⇒ 2024年3月末まで ⇒ 2024年3月末まで

セーフティネット4号・5号は2023年6月末まで、新型コロナウイルス感染症特別貸付は2023年9月末まで、伴走支援型特別保証制度(コロナ借換保証制度)は2024年3月末までと、再度期限が延長されています。新型コロナや物価高の影響を受け、資金繰りに苦しむ事業者にとってかなりの朗報でしょう。

しかし、コロナ融資の制度が継続されたからといって、審査が甘くなるわけではありません。たしかに通常の融資よりは緩やかかもしれませんが、コロナの時のような「何でもOK」な審査にはなりません。

とくに2度目の申請の場合は、「返済可能性の根拠」を詳しく聞かれます。説得力のある資料がなければ、コロナ融資といえども審査に通るのは難しいでしょう。

そんな根拠資料をすべてを中小企業経営者の方がご自身でご準備することは難しい方は、周りの専門家に作成をご依頼することをお勧めいたします。私たち専門家が作成する資料の出来次第で、審査が通るかどうかが大きく変わります。

東京都世田谷区で開業する方向けの創業融資

 

今回は、東京都世田谷区で創業を考えている方または創業1年以内という方向けに、世田谷区の制度融資について紹介していきます。

 

世田谷区の創業融資

 

世田谷区で開業する方が創業融資の選択肢として考えたいのは、「日本政策金融公庫の創業融資」と「世田谷区の制度融資」です。

 

日本政策公庫の創業融資

 

日本政策公庫とは、100%政府が出資する公的な金融機関であり、国の施策に基づいた融資や保証、資金調達の支援を行い、中小企業や地方自治体の施策にも積極的に協力しています。そのため、創業者にも積極的に融資を行っていますので、創業融資を受ける際にはまずは検討したい機関です。

 

全国に152支店(令和5年3月時点)あり、本店所在地のお近くの支店に申し込むことになりますが、世田谷区で事業を行う方は、渋谷支店が管轄となります。

 

制度融資とは?

 

制度融資とは、地方自治体(都道府県や市区町村)が金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度のことです。創業者が金融機関へ支払う利息や信用保証協会へ支払う保証料を地方自治体が補助することで、創業者がお金を借りやすいようサポートしています。

 

制度融資は各自治体によって条件が異なります。
ここからは、世田谷区の制度融資について紹介していきます。

 

世田谷区の制度融資

 

世田谷区の制度融資は、正式名称を「世田谷区中小企業融資あっせん制度」といいます。

 

世田谷区が金融機関に対して創業者を「あっせん」することで、創業者は好条件で融資が受けられるという制度です。

 

融資対象者

 

制度融資の対象となるのは以下の方です。

 

  法人 個人
創業前 ・本店登記及び主たる事業所を区内に設けて創業しようとする方 ・主たる事業所を区内に設けて創業しようとする方
創業後

・本店登記及び主たる事業所を区内に設けて、申込日現在、創業後1年未満の方
・法人都民税及び法人事業税を滞納していないこと

・主たる事業所を区内に設けて創業後1年未満である方 ・個人事業税を滞納していないこと

 

ここでいう申込日とは、事業計画書が完成し、あっせん申込書に記載する日にちを言います。また、創業した日は法人であれば、設立登記をした設立年月日をいい、個人は「個人事業の開業・廃業等届出書」に記入した開業日です。

 

その他、以下の要件にも全て当てはまる必要があります。

 

・住民税の滞納がないこと
・東京信用保証協会の保証対象業種であること
・許認可等を必要とする業種の場合は、その許認可等を受けていること
・融資あっせんを受ける資金の使途が適正であり、かつ、資金及び資金にかかる利子につき十分な返済能力を有すること

 

融資条件

 

限度額 2,000万円
利息

0.1 % 

保証料 東京都の制度融資要件に合えば1/2
返済期間 7年以内(据置1年以内)
担保 場合による
保証人 法人:原則として代表者個人
個人:原則不要

 

日本政策金融公庫の融資が利率2.5~3%程度なのに対して、世田谷区の制度融資は、0.1%という非常に低い優遇された利率が特徴です。

 

制度融資の場合は、信用保証協会による保証が付くので、利息とは別に保証料を支払わなければいけません。保証料は通常1%弱程度ですが、世田谷区の制度融資を利用すれば東京都の保証料補助が受けられるので、保証料負担は2分の1で済みます。そのため、利息+保証料で考えて、調達コストは公庫の融資よりも低くなります。

 

制度融資の利用の流れ

 

①あっせん要件確認

 

世田谷区産業振興公社(以下、「公社」)に相談日時を予約のうえ、来所します。
公社相談員(中小企業診断士)が、創業支援資金あっせんの申込要件に該当するか否かを確認します。

 

※世田谷区産業振興公社の住所:
世田谷区太鼓同2-16-7(世田谷産業プラザ4階)

 

②公社相談員との面談(4回程度)

 

公社相談員の支援を受けつつ、創業者自身で創業計画書を作成します。並行して取扱金融機関に区の制度で創業融資あっせんを申し込む予定であること伝え、相談します。創業者が自分で金融機関を選んで、担当者に申し込むことの了承を得ておくことがポイントになります。

 

※曜日ごとに担当の創業相談員は決まっています。相談は、おおよそ4回程度で、申込者本人以外はできません。

 

③融資あっせん書の交付

 

公社から創業者へ融資あっせん書が渡されますので、相談した金融機関へ提出します。金融機関からの代理申請の場合もありますが、創業融資の場合は、創業者が自分で金融機関へ提出することが多いです。

 

④金融機関及び信用保証協会の審査・融資の可否決定

 

金融機関または東京信用保証協会が融資実行の可否等を決定し、申込者に通知します。

 

⑤融資可否等結果報告

 

金融機関は公社へ融資の可否等結果を回答します。

 

⑥利子補給

 

融資が無事に通ったら、区が利子の一部を補助します。

 

ここで注意すべきポイントは、①から③まで、通常は3か月程度かかるということです。
したがって、「今すぐにお金が欲しい」という方には、向きません。事前準備がしっかりできる方は、挑戦してみると良いでしょう。

 

制度融資のメリット・デメリット

 

メリット

 

資金調達コストが安い

 

公庫の融資と比べても利息及び保証料といった調達コストをかなり抑えることができます。他の融資にはないメリットといえるでしょう。

 

創業助成金の申込対象となる

 

東京都の制度で、創業者が上限300万円を貰える「創業助成金」という助成金があります。
創業助成金は申請要件があって誰でも申し込めるものではありませんが、要件の一つに、「制度融資を利用している」というものがあります。

 

デメリット

 

手間と時間がかかる

 

最大のデメリットが、融資実行までに時間と手間がかかるという点です。
あっせん書を出してもらうまでに世田谷区の公社に5~6回程度足を運んで、何度も相談員と面談を重ねなくてはいけません。

 

公庫の融資の場合は申し込みから3週間程度で入金まで進みますが、制度融資ですと3か月程度かかってしまいます。

 

また、必要な書類も多く、世田谷区・金融機関・信用保証協会それぞれ求めてくる書類も異なりますので、かなりの手間がかかります。

 

まずは公庫で融資を受けておいて、後から制度融資も利用するという進め方もアリかと思います。

 

新設法人が銀行口座をスムーズに作る秘訣

申込

最近、「銀行口座が作れない」という新設法人からの相談が増えています。

以前は新設法人が金融機関で法人口座を作るのは、さほど難しくありませんでした。が、今はハードルが上がっています。法人口座を作ることができなければ、創業融資を借りることもできません。

今回は、「新設法人が法人口座をスムーズに作る方法」についてお伝えいたします。

※本情報での「銀行口座」は「銀行や信用金庫・信用組合の普通預金口座」です。便宜的に「銀行口座」と表記しています

1.法人口座を作るためには申し込む金融機関選びが重要

「法人口座が作れない」と相談する経営者の多くは、「都市銀行」「大手地方銀行」に申し込んでいます。設立間もない新設法人が都市銀行や大手地方銀行で法人口座を申し込んで断られるのは、実は一般的なことなのです。なぜなら、都市銀行や大手地方銀行は、比較的小規模の新設法人との取引にメリットを見いだしにくいため、断るケースが多くなります。

2.地域密着型金融機関を訪問しよう

一方、第二地方銀行、信用金庫、信用組合などの「地域密着型金融機関」では、新設法人の法人口座開設のハードルは低めです。都市銀行や大手地方銀行は小規模の新設法人との新規取引に慎重ですが、地域密着型金融機関にとって規模は大きな問題ではありません。むしろ「ちょうどよい大きさの企業」として、上手につきあうことで取引深耕が図れる相手として見てくれます。

地域密着型金融機関なら新設法人でも、法人口座を開設してくれる可能性は高いのです。

まずは第二地方銀行、信用金庫や信用公庫などの地域密着型金融機関に口座開設の相談を行きましょう。

3.法人口座開設を断られやすい企業とは

とはいえ地域密着型金融機関なら、かならず法人口座を作ることができる…とは限りません。

もちろん地域密着型金融機関も法人口座開設の審査を行うのですが、審査の過程で断られる可能性が高いのは、「登記している本店の住所がレンタルオフィスやバーチャルオフィス」「固定電話がない」「ホームページがない」「資本金が少額」「法人登記されている住所と、実際に事業を行っている場所が一致しない」「事務所の賃貸借契約書がない」「事業内容が不明瞭」といった「事業実態がないのでは?」と疑われる可能性の高い法人です。

4.事前に準備しておけば口座開設に有利になる資料・行動

以下の資料を準備したり、行動することで、口座開設に有利に働きます。

  • 事業計画書
    「どのような事業を行う会社なのか」を金融機関が把握することができます。事業を計画に行なっているという経営実態も確認することができます。
  • 会社案内やホームページを印刷したもの
    運営実態、また事業への本気度を伝えることができ、事業実態を把握できます。
  • 賃貸借契約書
    会社の運営実態を明確に証明することができます。上記の通り、レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは、事業を行っている場所としての実態が不明確なので、口座開設は難しいですが、個室を借りている場合は事業場所が特定できるため、問題にならないです。
    また、自宅をオフィスとしている場合は、自宅の賃貸契約で住居のみとなっていないか等を確認されることがあります。
  • 社長が事業実態を自分の言葉で説明
    口座開設の申し込みを行うにあたって、社長自らが経営を行っていることを示すことが、銀行側の審査をクリアするには大前提となります。

開業時に使える補助金3選

補助金・助成金とは、国や自治体等が、政策目標の実現を目的に政策目的に合った取組みを支援するために提供する返済する必要のない資金のことです。

省庁等で呼称が異なりますが、補助金と助成金はほぼ同じ意味になります。

新型コロナ感染症対策をきっかけに各関連省庁や自治体から、いろいろな補助金等が公表されており、その情報収集だけも大変という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、特に新規開業時に特に「使える」補助金のうちから3つ厳選して、まとめて行きたいと思います。

この記事は、以下のような目的に補助金・助成金を活用したい方向けになります。
・東京都で創業したい!別事業をやりたい!!
・展示会をやりたい!
・販促物を作りたい!販路開拓したい!
・新サービスを創りたい!
・地域資源を活用した商品開発をしたい!
・設備投資をしたい!省電力の設備に変えたい!

以下は概要になりますので、詳細は各制度の内容は公募要領等の関係省庁の公式情報を確認してください。

1.小規模事業者持続化補助金(創業枠)

  • :模事業者(業種によるが従業員5人~20人以下)
  • 補助率: 2/3
  • 補助上限:50万円(創業枠→200万円へUP)
  • インボイス枠:要件満たしていれば補助上限にさらに50万円上乗せ!

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画を作成して、それに基づいた地道な販路開拓や業務効率化をすることを応援するための補助金として2020年から設けられています。コロナウィルス感染症対策の特別枠など、その時の経済環境に応じて、追加カスタイマイズされながら補助金の範囲や支給額が変更されています。

創業者の方は、この中でも「創業枠」を目指すことをお勧めします。創業枠で申請することにより、補助上限額が200万円へ大幅に引き上げられます。200万円ということは、200万円÷2/3=300万円までの事業経費を対象経費とすることができます。

少しハードルとなるのは、創業枠の要件である『産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者であること。』ということ。

つまり、ざっくり簡単に言ってしまえば、東京都であれば23区や市で実施している創業塾や勉強会に参加して証明書をもらっていることが要件になります。少し時間はかかりますが、創業に係る知識やノウハウを学ぶことができる良い機会ですので、チャレンジする価値はあります。

また、インボイス制度を受けて、免税事業者から課税事業者に変更される事業者はさらに補助上限額を50万円上乗せされる可能性があります。

  • インボイス枠の要件
    2021 年 9 月 30 日から 2023 年 9 月 30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の応募締切は、第 12 回:2023年6月1日(木)
※ 公募要領
小規模事業者持続化補助金<一般型>第 12 回公募 公募要領

2.ものづくり・商業・サービス補助金(通常枠・創業加算)

  • : 中小企業者(形態・業種によるが資本金5,000万円~3億円以下、従業員数50人~900人以下)
  • 補助率: 2/3(小規模企業者・小規模事業者等の場合)
  • 補助金額:100万円~750万円(従業員数 5 人以下の時)
  • 創業者向けの政策加点
    ・会社設立(開業)日から5年以内の事業者
    J-StartupJ-Startup地域版に認定された事業者
    健康経営優良法人に認定された事業者
  • 申請要件
    ・以下の条件を満たす3年から5年の事業計画作成

    • 給与支給総額 +1.5%/年以上
    • 事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上
    • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、通称、「ものづくり補助金」を呼ばれています。中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

小規模事業者持続化補助金より、規模が大きくなる事業者を主なスコープとした補助金とはなりますが、創業者向けの政策加点があり、審査上、有利になるため、こちらの補助金を創業後早い段階での事業資金として申請するケースもあります。

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の応募締切は、2023年4月11日(水)17時
※来年度は、年4回の募集がある予定
最新公募要領
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分)

3.創業助成事業(東京都)

  • : 都内での創業を具体的に計画している個人又は創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方
  • 補助率: 2/3
  • 補助上限:300万円
  • 補助経費項目:従業員人件費・賃借料・広報費・備品・産業財産権出願費
  • 補助要件:
    • 独立して5年以内
    • 都の創業支援施策をどれか1つ以上利用申請要件

東京都も都内開業率は約4.8%(令和元年度)と、諸外国に比べ、低い開業率を押し上げるために、施策を打ち出しています。その1つが、この創業助成事業であり、東京都で創業を希望する人へ着実な支援を行って都内開業率の向上を図ることを目標に掲げております。

19個の東京都の創業助成事業から1つの利用が必要になります。こちらも、準備期間にそれなりの時間が要しますが、得るものは多いため、挑戦してもよいかもしれません。

2023年3月16日時点の参考情報:
次回の公募開始と締め切り:2023年4月11~20日
※例年4・10月に募集
応募方法:郵送 (令和5年度から電子申請での受付も開始)

 

2023年4月から金融機関の「経営者保証」への対応が変わります!

契約

金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいて、金融機関に対して監督・指導を行っています。2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため「経営者保証改革プログラム」(https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html)を公表しました。

その流れを受けて金融庁は2023年4月から「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改定し、各金融機関が「融資の際、経営者保証を徴求しない流れ」を作ろうとしています。この流れにうまく乗ることができれば、新規融資の際に経営者保証をしなくてすむようになります。また、現在差し入れている経営者保証の解除も可能になります。

1.経営者保証を要求する場合、金融機関には説明義務が生じます

2023年4月から、融資実行時に「経営者保証」を徴求する場合、金融機関は

以下の2点について説明する義務が発生します。

 ① どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか

 ② どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか

 

2.経営者保証が必要だと言われたら説明を求めることができるようになります

融資の際に金融機関から「経営者保証」を求められたにもかかわらず、「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか」の説明がない場合は、説明を求めることができます。同時に、「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」についての説明を求めることができるようになるので、その説明を明確に聞くことができれば、金融機関が指摘する点を改善することができれば「経営者保証の解除」を求めることができるようになります。

 

3.説明を求めても説明してもらえない場合の対処法

2023年4月から金融庁には「経営者保証専用窓口」が設置されます。金融機関から「経営者保証徴求の際の説明がない」場合、 「経営者保証専用窓口」に相談すると、金融庁から当該金融機関に対し、指導が入ることになります。

 

4.いきなり「経営者保証相談窓口」に相談することは避けましょう

ただ、融資実行の際に担当者から経営者保証に関する相談がない場合、いきなり「経営者保証相談窓口」に駆け込むのは避けましょう。そうしてしまうと、支店や金融機関の立場がなくなってしまいます。

まずは、支店長や貸付の責任者に相談してください。担当者の知識不足のために説明がないことは十分考えられます。支店長や貸付の責任者なら、説明義務についてよく理解しているので、きちんと説明してくれるでしょう。それでも説明がない場合は、本部の「お客様相談窓口」に相談し、それでも説明がない場合に限り、「経営者保証相談窓口」に相談するという手順をとってください。いらぬトラブルを避けることができます。

 

2023年1月より「コロナ借換保証制度」が始まりました!

2023年1月10日から新しい信用保証制度(コロナ借換保証)が開始されました。新型コロナウイルス感染症の影響で債務増大した中小企業の収益力改善を支援するために、借換え需要や新たな資金需要にも対応するためのものです。

一定の要件を満たした中小企業が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借換時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

1.コロナ借換保証制度の概要

  •  保証限度額 : 1億円
  •  保証期間   : 10年以内
  •  据置期間   : 5年以内
  •  金利   : 金融機関所定
  •  保証料   : 0.2%等(補助前は0.85%)
  •  要件

⮚「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」もしくは「セーフティネット4号または5号の認定取得」

⮚「金融機関による伴走支援」

⮚「経営行動計画書の作成」

2.ここが変わった!

以前までの「伴走支援型特別保証制度」においては、「前年同月比売上」が15%以上減少という利用要件が、今回は「5%以上減少」と緩和されています。さらには、利益率が5%以上低下している場合にも適用が可能です。売上は増加しても、利益が減少している事業者も利用しやすくなったのは有難い緩和です。利益率の低下は、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」のどちらかが要件をクリアしていればOKです。

3.注意点:保証料は「0.2%」ではない

保証料率0.2%というのは非常に低い保証料率です。しかし、よく見ると「0.2%」ではなく「0.2%等」と「等」がついているのです。これは、コロナ借換保証の保証料が「0.2%」ではないことを意味します。

コロナ借換保証の要件として、「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」と「セーフティネット4号または5号の認定取得」とあります。この場合は、いずれも保証料は0.2%です。「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」で「コロナ借換保証」を利用する場合は、保証料は0.2%ではなく、0.2%~1.15%となりますのでご注意ください。

「コロナ借換保証制度」は「民間金融機関によるゼロゼロ融資」の借り換えに利用出来ます。返済に悩んでいる方は、借入を行った銀行または信用保証協会に相談に行かれることをお勧めします。

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