決算書の内容が悪くても、融資をしてもらう中小企業になる方法

「事業が軌道に乗り始めているが、まだ赤字が続いている。」
「社長自らの会社へ貸付を行っており、まだ債務超過の超過になっている。」

そのような、一見、決算書の″見た目″が悪いからといって、融資は難しいのでは?と諦めていないでしょうか。
確かに決算書は融資審査において最重要項目の1つではありますが、会社の稼ぐ力は決算書だけでは、推し量れない部分があります。

今回は決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきたいと思います。

金融検査マニュアル廃止

20 年前に、不良債権問題が深刻化し、国内大手金融機関の破綻が相次いだことから、金融庁はその前身である金融監督庁として発足しました。10 年前には、サブプライムローン問題を発端として、アメリカ大手投資銀行が破綻し、これに連鎖してグローバルな金融危機が発生しました。

それらの危機を乗り越えるために、金融庁は金融機関に対し、いろいろな指導・監督を行ってきました。

そのために、金融機関を監督・指導していくためのツールとして、金融検査マニュアルを使用していました。

金融機関は、金融検査マニュアルに従って、取引先顧客の格付けを行い、格付けの低いところには、融資ができませんでした。なので、以前は、財務内容が悪く、しっかりした担保や保証人がない企業は、なかなか融資をしてもらえなかったのです。その金融検査マニュアルが、廃止になり、金融庁の指導方針が大きく変わりました。

金融機関の融資方針はどう変わるか

金融検査マニュアルが廃止されると、金融機関は格付けに基づく融資(決算書や担保・保証人を重視した融資)を行うのではなく、その企業の事業性や将来性、成長可能性を重視した事業性評価融資による、融資を積極的に取り組むようになります。

自分たちの企業の事業性や、将来性、成長可能性を金融機関に把握してもらえれば、決算書の内容が悪くても、融資をしてもらいやすくなります。

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになる方法

決算書の内容が悪い中小企業が融資をしてもらうようになるには、自分たちがしなければならないことがあります。

1.事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

2.事業計画書を作成しておくこと

3.金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、どのような融資方針でいるのか把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。

“事業性評価融資”に積極的に取り組んでいる金融機関と新たにつきあっておくこと

“事業性評価融資”とは、「財務内容や担保・保証人に過度に依存せず、取引先企業の「事業性」や「将来性」、「成長可能性」を評価した融資」のことを言います。たとえ、財務内容が悪くても、自社の将来性や成長可能性があるのであれば、事業性評価融資をしてもらえるようになります。

ただし、まだ、事業性評価融資に積極的に取り組んでいる金融機関は、そう多くはありません。事業性評価融資をしてもらうためには、積極的に取り組んでいる金融機関との取引は必要不可欠です。

事業計画書を作成しておくこと

金融機関が事業性評価融資を行うためには、金融機関自体が取引先企業の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を把握しておく必要があります。その為に、金融機関の担当者は、取引先企業に対して、何十時間ものヒアリングを行う必要がありますが、普段でも、仕事に追いまくられている担当者には、そんな時間はありません。少しでも、担当者の負担を軽減してあげることができれば、事業性評価融資を行ってもらえる可能性は高くなります。

自社の「事業性」、「将来性」、「成長可能性」を伝えるのにうってつけなのが「事業計画書」です。知り合いの士業やコンサルタントに協力してもらい、「事業計画書」を作成しておきましょう。

 金融機関との良好な関係を構築しておくべきこと

金融機関が、財務内容のあまり良くない取引先の事業性評価融資を行う際に、とても重要になるのが、担当者や貸付責任者、支店長の「熱意」です。

「この会社は、何としてでも応援したい」と思ってもらえれば、熱心に取り組んでもらえることができます。まずは、金融機関との良好な関係を構築するようにしておきましょう。

 

今回は、決算書の内容が悪くても、融資を引き出すことができる中小企業になる方法を解説していきました。しっかりした準備をして、資金調達力を高め、安定した成長基盤を作っていきましょう。

今、どれぐらいの金額を金融機関から借りることができるのか?

中小企業の経営を行っていく上で、非常に重要なテーマである「融資」。
しかし、足りないときに、銀行に行っても簡単に貸してくれません。
日ごろから、「どれぐらいの金額を金融機関から借りるのか?」を知っておくのが肝要です。

今回は、「金融機関が考える借入限度額の目安」の計算方法についてお伝えします。

1償還年数から計算する

計算式 : (税引後当期純利益 + 減価償却費) × 10

償還年数とは、債務をすべて返済するのに必要な年数で、債務を年間返済可能額(税引後当期純利益+減価償却費)で割ることで計算できます。

税引後当期純利益とは、損益計算書ですべての収益から費用や税金を控除して計算される最終的な儲けの部分のことです。

担保や保証人の有無、取引年数、取引先との関係性を考慮しない場合、金融機関はこの1年分の儲けを10年間続けて返済していく金額を貸出可能金額と考えるわけですね。

通常、償還年数の適正な水準は5年以内ですが、一般的に融資限度額を計算する場合は、償還年数を10年で考えます。

2月商や年商(月商倍率)から計算する

計算式 : 毎月の売上(年間売上÷12) × 1~6ヶ月

金融機関の人間が、感覚的に用いている「借入限度額の目安」を計算するときに、よく使われる方法です。

借入限度額を月商倍率で計算する場合は、業種業態によって範囲が広がるが、だいたい、月商の1~6ヵ月を目安としています。

季節連動があり、毎月の売上高大きく変動する業種・業態もあります。その場合は、年間売上高から平均月商を計算します。

営業利益率や経常利益率の高い業種の場合は、長い期間(5~6ヶ月)で計算しますし、低い業種の場合は、短い期間(1~2ヶ月)で計算します。

3経常利益から計算する

計算式 : 過去3年分の経常利益の平均 × 50% × 7

融資に対して、厳しめの対応をする金融機関の場合、こちらの計算方法を使って、融資限度額の目安を計算します。

経常利益とは、その会社の主たるビジネスの儲け(=営業利益)に、毎年生じる金融取引(利息等)や賃貸取引等の副業的なビジネスの部分の儲けを加減することで計算されます。

この「経常利益の50%」というのは、さらに税金支払いを考慮した金額であり、「税引後当期純利益」に近い数字になっています。上記「1」や「2」の計算方法に比べて、少なめの数字になります。

経常利益が右肩上がりになっている場合は、後ろの倍率が7倍より増えてきますし、右肩下がりになっている場合は、7倍より少なくなります。

4.まとめ

こういった金融機関の考え方を、ある程度把握しておけば、スムーズに融資をしてもらうことができます。また、上記の計算から求められる資金調達力を高めていくことが目標になります。

 

地元で募集している補助金・助成金情報の探し方

地元の補助金

2022年12月2日に令和4年度第2次補正予算案が成立しました。

これにより、経済産業省系の補助金として、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」が、2023年度も募集されることが決定しています。

国の補助金ほど高額ではありませんが、各地方自治体も「返さなくてもよいお金」として、いろいろな補助金や助成金が募集されています。

地方自治体の補助金・助成金は、国の補助金ほど手続きが難しくなく、募集要件を満たすだけで、もらえたりするため、手軽に申請することができます。

しかし、そういった地元の「補助金」や「助成金」の情報を手に入れるのが大変。。

今回は、地元の「補助金」や「助成金」の情報を簡単に手に入れるための方法についてお伝えします。

【 J-Net21 】 支援情報ヘッドライン( http://j-net21.smrj.go.jp/snavi/

J-Net21は中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業のためのポータルサイトです。公的機関の支援情報を中心に、経営に関するQ&Aや数多くの企業事例などを簡単に調べることができます。

検索エンジンを使って「J-Net21 支援情報ヘッドライン」で検索すると、一番上に表示されます。

その表示をクリックすると、上部に「ご覧になりたいカテゴリーを選択してください」との記載があり、その下に「補助金・助成金・融資」「セミナー・イベント」「その他」と3つのバナーが出てきますので、 「補助金・助成金・融資」にチェックをいれます。

その下に表示されている「地図」と「都道府県名」から地元の都道府県名をクリックすると、当該都道府県で募集されている補助金や助成金の情報が表示されます。

市区町村レベルまで絞り込みたい場合は、「検索条件」欄内にある「さらに条件を追加する」バナーをクリックすると「市区町村」という項目とその横に「市区町村を開く▽」という表示が出ます。

その表示をクリックすると選択した都道府県内の市区町村名が出てきますので、地元の市区町村にチェックを入れ、「検索実行」をクリックすると、当該市区町村が募集している補助金・助成金情報を手に入れることができます。

その中から、自社に合いそうな補助金や助成金を選ぶことで、簡単な情報を知ることができます。

ここでは、あまり詳しい情報は掲載されていませんが、その情報の下部にある「詳細情報を見る」欄の下に記載しているリンク先をクリックすると、その補助金や助成金を募集している自治体のサイトにアクセスし、より詳しい情報を見ることができます。

この情報だけを見てもよくわからない場合は、その情報が記載されているサイトの下部に「お問い合わせ先情報」(部署名、メールアドレス、電話番号)が記載されているので、直接、当該部署に電話し、問合せされることをお勧めします。

コロナ融資の返済猶予期間を延長するための2つの方法

新型コロナウイルスの影響で売上が激減し、資金繰りが苦しくなった事業者のほとんどは、日本政策金融公庫や信用保証協会の保証つきでコロナ融資による資金調達を行いました。

そのおかげで当面は資金繰りが改善されたものの、影響が長引いて売上が以前のように戻らず、再び資金繰りが難しくなっている事業者が増えてきました。今後コロナ融資の返済が始まると、なおさらキャッシュフローが厳しくなります。そんなコロナ融資の返済に悩む事業者が返済猶予期間を延長するための方法について解説します。

1.リスケ(リスケジューリング)

「リスケ」とは、金融機関からの融資に対する毎月の返済が厳しくなったため、金融機関との交渉を経て、返済可能な金額・期間などに変更することです。

返済のスケジュールを見直すことから「リスケジューリング」といい、それを略して「リスケ」と言います。

2.同額借換

通常の融資では、上記の「リスケ」しか返済額を減額するための方法がありませんでした。しかしコロナ融資に関しては、もうひとつ対応策があります。それは金融機関に「同額借換」を依頼することです。

同額借換とは、以前、コロナ融資を借りた金融機関から、同額の融資を再度行ってもらい、その資金で以前の融資の返済を行い、新たに借りた融資の返済猶予期間を、今後、1~5年にすることで返済猶予期間を延ばす方法です。

3.まず「同額借換」を依頼しましょう

リスケを行う際は注意点がひとつあります。リスケをしてしまうと事業者の信用格付けが大幅に下がるため、金融機関はその後の新規融資には応じてくれないようになります。将来、資金調達を行いたいと考えている事業者にとっては、できるだけ避けたい状況です。

ですので、金融機関に依頼するのであれば、まず、「同額借換」で依頼されることをお勧めします。

今までの事例では、公庫や信用保証協会の保証つきコロナ融資の場合は、7割程度は対応していただいています。

4.同額借換を認めてもらえなかったときの対策

7~8割の同額借換が成功する=2~3割は認めてもらえないということ。そうなると残った方法は、「リスケ」しかありません。リスケへのスムーズな移行を目指すため、1ヶ月分は返済することが大切です。

その後、「今回は無理をして資金段取りを行い、何とか返済することができました。が、次回以降、到底返済をすることは不可能です。。同額借換は、返済猶予期間を延ばしてもらおうと思って依頼しました。しかし認めてもらえなかったので、次回以降の返済につきましてはリスケをお願いします」と依頼することで、金融機関も事態の深刻度を察知し、リスケ交渉に臨む体制を作ってもらえることが少なくありません。一度融資を断った手前、金融機関はリスケに応じざるを得ない状況になるからです。

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