国の調査結果によると、民間ゼロゼロ融資の返済開始のピークは2023年7月から2024年4月と言われています。
「今の状況ではコロナ融資を返済できない」という法人が今後増えてくると予想されています。
しかし、「コロナ借換保証制度を使った同額借換」を利用すれば、据置期間(返済猶予期間)をさらに延ばすことができます。
しかし、「コロナ借換保証制度」に積極的でない金融機関がメインバンクのケースもあります。
今回は、この「コロナ借換保証制度」を使った「他行借換」(肩代わり融資)について解説します。
1. 「コロナ借換保証制度」とは?
「コロナ借換保証制度」とは、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、信用保証協会の保証つきのコロナ融資を借り換えることができる制度のことです。
2.「コロナ借換保証制度」を利用した借り換えに消極的な金融機関
先述したとおり、「コロナ借換保証制度」を利用することで、据置期間(返済猶予期間)を延長することができるのですが、この制度を利用した借り換えに消極的な金融機関も見受けられます。
なぜならば、自分のところですでに借りてもらっているコロナ融資をコロナ借換保証制度で借り換えてもらっても金融機関にとって、融資額が増えるわけではないからです。
もちろん、受け取る金利が増えるわけでもありません。それどころかコロナ借換保証制度で借り換えることで、「経営行動計画書」作成サポート、また、年に1度保証協会に「事業計画進捗状況報告書」を提出するという、借り換えしなければ必要のなかった業務が発生します。
忙しい金融機関にとって、コロナ借換保証制度での借換は、メリットがないのです。
3.「コロナ借換保証制度」を利用した「他行借り換え」には対応してくれる
ところが、「他行借り換え」(肩代わり)なら、事情は変わります。なぜなら、肩代わりする金融機関にとっては、融資額が増えます。また、それに伴って受取利息=収益も増えます。
さらにコロナ借換保証制度の場合、申請する事業者の要件さえそろっていれば、信用保証協会の認可を得やすいのです。稟議書を作成する手間を、ある程度省けます。さらに、100%保証での借り換えとなると、金融機関のリスクもありません。
コロナ借換保証制度を使った「他行借り換え」は金融機関にとって、取引先の財務状況にもよりますが、低リスクで新規先を得られる絶好の機会になります。
4.肩代わりされる金融機関の事前確認は不要
「他行に依頼すると、前の銀行に申し訳ない、言い出しにくい」と躊躇する経営者もいるでしょう。
しかし、心配はいりません。保証協会の保証つき融資を別の金融機関で肩代わりしてもらうことになった場合は、保証協会の認可をとるだけでよく、基本的には肩代わりされる金融機関の「事前確認」は要りません。
いま、信用保証協会の保証つきで、コロナ融資を借りている金融機関が、コロナ借換保証制度を使った同額借換に消極的なら、積極的な金融機関に肩代わりを打診されることをおすすめします。