コロナ融資の返済開始が増えるにつけ、「返済したくても今のままでは返済できない。どうにかできませんか」という相談は日に日に増えています。「同額借換」を行うことで、「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばすことができます。
民間金融機関による「コロナ融資」の「同額借換」については、「コロナ借換保証制度」があります。「コロナ借換保証制度」については過去のブログで紹介させていただきました。
今回は、これの日本政策金融公庫版、「公庫融資借換特例制度」について解説いたします。
1.前向きに「同額借換」に公庫は応じてくれます。
日本政策金融公庫に対して「同額借換をお願いできませんか」と依頼すると、意外とスムーズに対応してくれることが多いです。
なぜなら、「「公庫融資借換特例制度」という制度があるから」なのです。
2.「公庫融資借換特例制度」の利用が出来るパターン
「公庫借換特例制度」で利用出来るのは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度を利用して借入をしているパターンだけではありません。以下の制度を利用している場合での借換にも適用できます。
- 「経営環境変化対応資金」
- 「金融環境変化対応資金」
- 「東日本大震災復興特別貸付」
- 「令和元年台風第19号等特別貸付および令和2年7月豪雨特別貸付」
- 「事業再生・企業再建支援資金」
- 「事業承継・集約・活性化支援資金」
- 「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」
- 「挑戦支援資本強化特別貸付制度」
3.借換によるメリット
この「公庫融資借換特例制度」を利用することでどんなメリットがあるかというと、新型コロナウイルス感染症特別貸付の借入金を借り換える場合、「返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)」となっているため、据置期間が延ばせるというメリットがあります。
というのも、それ以外の制度で借り換える場合は、据置期間は原則1ヶ月以内となっているため、据置期間の繰り延べ効果は望めないのです。既存の融資の返済期間が短い場合、借換を行うことで毎月の返済負担額を減らすことができます。
通常、毎月の返済負担額を減らしたい場合は「リスケ」するしかありませんが、「リスケ」をしてしまうと、信用格付けが落ちてしまうため、新規融資を受け付けてもらえなくなるというデメリットがあります。
しかし、「公庫借換特例制度」での借換では、毎月の返済負担額を減らしても、信用格付けは落ちないので、新規融資が必要な場合も、融資交渉が可能な状態を継続できるのです。
4.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は金利が上がる可能性あり
ただ、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては、以前借りいれたタイミングによっては、借り換えることで金利が上がる可能性もありますのでご注意ください。
まずは、現在借りている日本政策金融公庫の支店のご担当者へご相談してください。