日本政策金融公庫は、2024年4月1日にスタートアップ融資制度を拡充しました。
それに伴い、今まで創業者に一番利用されていた「新創業融資制度」という名称はなくなることになりました。旧「新創業融資制度」の対象者向けの新たな創業融資制度の名称はというと、特にないです。
公庫のホームページには「新規開業資金を無担保・無保証人で、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方がご利用いただく場合」となっています。
この新たな創業融資制度の拡充ポイントは下記の通りです。
1.自己資金の要件がなくなった!
旧「新創業融資制度」では、自己資金の要件として
「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」
となっていましたが、新制度では、自己資金ゼロでも申し込むことができます。
2.融資限度額が大幅拡充!
旧「新創業融資制度」では、融資限度額は、3,000 万円(うち運転資金 1,500 万円)となっていましたが、新制度での融資限度額は、7,200 万円(うち運転資金 4,800 万円)と大幅にアップしています。
3.運転資金の返済期間が延長!
旧「新創業融資制度」では、設備投資に使う資金は原則20年以内、運転資金は7年以内の返済となっていましたが、新制度の運転資金の返済期間は原則10年以内と延びました。
4.据置期間も延長!
据置期間とは、「返済せず利息だけ支払う期間」のことです。
旧「新創業融資制度」では、最長2年以内でしたが、新制度の据置期間は最長5年以内と延びました。
5.制度の内容と審査は別物
新制度においていろいろと拡充されたように見えます。
しかし、この内容が実際に審査に反映されるとは限りません。
旧「新創業融資制度」においても融資限度額は3,000万円となっていましたが、実務上では3,000万円の融資をしてもらえるケースはとてもレアで、そのほとんどが1,000万円以下でした。
また、旧「新創業融資制度」において、自己資金の要件は「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」となっていましたが、実務上では10分の1の自己資金では、審査はほぼ通っていませんでした。
「自己資金ゼロでも、融資希望額が7,200万円でも申し込むことは可能ですが、それが審査で通るとは限らない」ということは、よく認識しておく必要があるでしょう。
今後、この新制度になってどうような影響額があるかは注目しておく必要があるでしょう。