やはり「経営者保証を外したい」という経営者のニーズは高いでしょう。
金融庁の「企業アンケート調査の結果」によると、およそ7割の企業が「借入金の金利が上がったとしても経営者保証
全国銀行協会と日本商工会議所は、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を応援するために「経営者保証に関するガイドライン」を公表しています。
また、2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させていくため「経営者保証改革プログラム」を公表しています。そのことは以下の過去のブログでも触れました。
これからは、経営者保証を今までより外しやすくなります!
私たち士業・コンサルタントの側からも経営者保証解除のお手伝いがやりやすくなったと思います。
ガイドラインに基づくと、経営者保証を解除するためのポイントは以下の6つです!
(1)会社のお金と個人のお金をごっちゃにしない
法人と個人の資金が明確に分離されていない場合、金融機関からは法人に貸したお金が個人の資金として使われている可能性があり、経営者の個人保証を外すのは難しいと判断されることになります。
法人と個人のお金を混同しないためには、個人と法人の支払方法を区分する、口座を明確にわける等のお金の管理方法に関して一定のルールを決めて実行すること重要です。
また、役員報酬・賞与や配当、オーナーへの貸付等について社会通念上の範囲であることや税務等のルールに従って、決定する体制を整備する必要があります。
(2)損益計算書:大幅な利益を出す
もちろん不正等の会計基準等に従っていない不適切な処理は問題があります。そういったルールに従った範囲で、利益が十分に出ていることが必要な資金を円滑に調達するためには寛容です。それにより返済能力があると金融機関からは評価され、信用力が向上します。
(3)貸借対照表:役員貸付金等の科目を作らない。自己資本比率を高める
貸借対照表で、資金使途が不明確な仮払金や役員貸付金等は金融機関からの評価が低くなる可能性があります。また、自己資本比率が高ければ金融機関としては経営者保証を外すことにリスクはないと評価できることになります。自己資本比率を高めていくことで、信用力が高まります。
(4)事業計画書を作成する
経営者は事業計画や業績見通しを作成することで、計画的に事業を実行することができます。確かに計画通りにうまくいくことはあまりないかもしれませんが、計画を立てなければ、目標を達成するのは非常に難しいでしょう。
(5)定期的に金融機関に業績報告を行う
事業計画等を作成したうえで、事業計画の説明・進捗状況等の説明を金融機関に対して、積極的に定期的に報告していきましょう。また、事業計画・業績見通し等に変更が生じた場合にも、自発的に報告するなど適時適切な情報開示に努めます。
その定期的な情報開示を通して、経営の透明性を確保することができれば金融機関と良い連携が取れて、経営者保証に頼らない融資の実行が可能になります。
(6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける
『開示情報の信頼性の向上の観点から、外部専門家による情報の検証を行い、その検証結果と合わせた開示が望ましい。また、こうした整備・運用の状況について、外部専門家(公認会計士、税理士等をいう。以下同じ。)による検証を実施し、その結果を、対象債権者に適切に開示することが望ましい。』と「経営者保証に関するガイドライン」にはあります。
どうしても、法人と個人の資金分離のルールを決めて実行したり、事業計画の作成・運用を一人でやるのは大変かと思います。しっかりサポートしてくれる外部専門家を見つけて頼っていくことが近道かと思います。
「経営者保証に関するガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、金融庁も積極的に後押しをしていることもあり、以前よりは、活用件数が増えてきています。
上記6項目を満たすことで、保証人を外しやすくなるということになっています。
そのために、まず、必要なのは、「(6)積極的にサポートしてくれる専門家を見つける」ことです。しっかりした専門家がサポートしていれば、(1)~(5)の項目は、自然とできるようになります。