今回は、創業5年以内の方が使える東京都の制度融資について紹介していきます。
◆ 東京都の制度融資
東京都の制度融資のうち、創業融資は、通称「創業」という名前で設けられています。
令和5年度の東京都中小企業制度融資に関しては、以下リンクのP33にまとめられています。 https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/yuushiannai.pdf |
創業者は、しばしば金融機関からの信用を得ることが難しいため、国や地方公共団体が補助を行ってくれます。それが制度融資の仕組みです。
市区町村での制度融資と同様に、東京都でも独自の制度融資の仕組みがあります。
◆ 融資対象
東京都の制度融資(創業)を受けるためには、次の(1)から(3)のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)創業前
- 事業を営んでいない個人、かつ
- 1か月以内に新たに個人でまたは2か月以内に新たに会社を設立
- 東京都内で創業しようとする具体的を有する者
(2)創業後
- 中小企業者又は組合
- 創業した日から 5 年未満である者
※ 個人で創業し、同一事業を法人化した者で、個人で創業した日から 5 年未満を含む
(3)分社化
- 東京都内で分社化しようとする具体的な計画を有する会社または分社化により設立された日から5年未満の会社、かつ
- 中小企業者であること
創業した日の定義
ここでいう「創業した日」とは、原則として法人の場合は設立登記の日、個人の場合は税務署に提出した開業届の開業日です。
※ 開業した日は、地方自治体ごとに解釈が異なり、中には「売上が発生した日」のように実際に事業を始めた日とするところもあるので、利用する自治体に確認してください。
ご利用いただける方の条件
また、上記要件に加え、以下の融資の基本条件についても満たしておく必要があります。
(1)東京都内に事業所(個人事業者は事業所又は住居)を有し、保証協会の保証対象業種に属する事業を営んでいること。ただし、一定の業歴要件が必要となる場合がある。
(2)当該事業を営むために許可、認可、登録、届出等を必要とする業種にあっては、当該許可等を受けている(又は、受ける)こと。
(3)事業税その他租税の未申告・滞納や、社会保険料の滞納がないこと。ただし、完納の見通しが立つ場合などはこの限りではない。
(4)現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的な要求行為等を行わないこと。
◆ 融資条件
東京都の制度融資(創業)の基本的な融資条件は以下の通りです。
利率が低く、保証料が3分の1までに抑えられる点が最大のメリットです。
利率と保証料を合わせても、公庫より安く借入コストを抑えることも多いです。
融資限度額 | 3,500万円 |
融資期間 | 運転資金:7年以内(据置期間1年以内) 設備資金:10年以内(据置期間1年以内) |
融資利率(年率) |
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返済方法 | 分割返済(融資期間が1年以内の場合は一括返済も可) |
融資形式 | 証書貸付または手形貸付 |
信用保証料 | 2/3を東京都が補助 |
保証人 | 法人代表者を除き原則不要 |
物的担保 | 原則不要 |
◆ 必要な提出書類
- 信用保証委託申込書
- 信用保証委託契約書
- 個人情報の取り扱いに関する同意書
- 印鑑証明書
- 商業登記簿謄本
- 確定申告書(決算書)の写し(原則直近2期分)
- 納税が確認できる書類
- 見積書等(設備資金の場合)
- 創業計画添付書および創業計画書
◆ 政策金融公庫の融資との違い
東京都23区の方の創業融資の選択肢としては、以下の3択です。
- 日本政策金融公庫の融資
- 区の制度融資
- 東京都の制度融資
創業者の方の多くは、公庫の融資をまず受ける場合が多いです。
一般的に、公庫の融資は入金までの時間も短いため、スピードを重視する場合、公庫がおすすめです。
一方、制度融資は公庫より手間や時間がかかるものの、公庫よりも調達コストが安く抑えられる場合が多いです。
◆ 東京都なら23区の制度融資が好条件
では、東京都で事業を行う方の場合、制度融資を利用する場合、東京都と区の制度どちらを使うのがよいでしょうか。
区の制度融資を活用した方が借入条件が良い場合が多い気がします。
正確には、それぞれの区ごとにある制度融資の条件を確認してください。
例えば私の事務所のある中野区では、創業者の利息負担が0.2%となる制度融資があります。
都の制度融資や公庫の融資と比べても非常に低金利です。
また、区の制度融資と都の制度融資を併用できることもあります。
利率は0.2%、保証料に関しては都の制度融資で1/3になるというように、都制度融資として信用保証協会へ保証申込みをすることで、良いとこ取りができるようなケースもあります。
◆ おわりに。
今回は、東京都の制度融資(創業)について紹介させて頂きました。
制度融資をうまく活用できれば、調達コストを低く抑えることができて、さらには地元の信用金庫・信用組合等の金融機関とのパイプを作ることができます。この機会に活用してみてください。
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