今回は創業融資をどこから借りるべきかというテーマです。
創業融資を借りようと思ったときに金融機関選びは非常に大事になってきます。
なぜなら、金融機関との付き合いは創業融資の時だけではないからです。創業融資を返済すれば関係が途絶えるということはなく、その後、事業運営をしていく中で、長い付き合いになるからです。
したがって、長い付き合いになる取引相手をどこにするかは慎重に選ぶ必要があります。
※ このブログの中で、地元密着型金融機関という場合は、第二地方銀行や信用金庫・信用組合を指します。
1.【民間金融機関の5形態】
つきあうべき金融機関と避けるべき金融機関を考えるにあって、まずは金融機関の分類をご説明します。
各金融機関の取引先の年商のボリュームゾーンは以下の通りです。
- 都市銀行(50億円以上)
- 地方銀行(30億円以上)
- 第二地方銀行(3億円~10億円)
- 信用金庫(3億円以下)
- 信用組合(1億円以下)
大手銀行(都市銀行・地方銀行)は、「収益性・効率性」を重視するため、中小・零細企業はほとんど相手にすることはありません。事業の状況が好調のときには、手間もかからず、ある程度収益も確保できるため、ちやほやしてくれますが、業況が悪くなると、自己保身のため、手のひらを返した扱いをされることもあります。つまり、いざというときには、(中小企業にとって)頼りにならないのです。
一方、第二地方銀行や信用金庫・信用組合といった地域密着型金融機関は、「関係性」を重視するため、正しくつきあっていれば、いざというときに応援してくれます。なぜなら、法律上、設立している趣旨が【地域の相互扶助】ためだからです。
そのため、自社の年商を考えて、つきあうべき金融機関を選定していただく必要があります。その結果、創業時につきあうべき金融機関は、地域密着型金融機関を選定することが必然となります。
2.地域密着型金融機関は味方
地域密着型金融機関の現場の人間は、基本的には経営者の味方です。もちろん、地域密着型金融機関の担当者もノルマがありますが、地元の貢献を考えてくれ、血が通った取引できることが多いです。
そのためにも、積極的に情報開示を行い、早め早めに相談することが大事です。問題があったらすぐに相談しましょう。
実際あったのは、熱意のある金融機関の担当者が信用保証協会の結果さえもひっくり返して融資をねじ込んでくれたことがありました。
公庫から創業融資を借りた際の入金口座もこのような地元密着型金融機関の口座にするとよいでしょう。
3.法人の新規取引について
金融機関は新規の法人取引は基本的には避けたがる傾向が強いです。大きい金融機関になればなるほど、創業者の口座を作りにくい傾向にあります。
特に最近の金融機関は、新設法人の場合のチェックが厳しいです。大手の銀行では、マネーロンダリングや反社会的企業チェックも機械的に行いため、エゴサーチが難しい傾向のある創業会社との相性が良くないのです。
一方、地元密着型金融機関ももちろん開設時のチェックは行いますが、中身(事業実態)を見てくれます。
例えば、新設する場合に必要な資料として、定款や謄本はもちろん必要になりますが、さらにHPがある場合であれば、ない場合に比べて、かなり扱いが違います。HPを印刷した紙をもっていくことも重要です。
また、その法人の事業実態があるかを重視してくれますので、事業計画の提出をすると有効です。マネーロンダリングための法人のためにわざわざ事業計画作ることはないかですよね。なので、事業計画を作って、このような形で事業しますと示すのが有効なのです。
また、誰かに間に入ってもらい紹介してもらうというのも、事業実態をサポートすることになるでしょう。
4.創業融資はどこに申し込むべきか
士業やコンサルタントの創業支援サポートでは3つのサポートがあると考えています。
1.日本政策金融公庫からの創業融資サポート
2.民間金融機関からの創業融資サポート 3.1年後に不足する運転資金を調達可能にする土台づくりのサポート |
特に私は、このうち3のサポートが大事だと考えます。創業融資のご相談をいただいた場合、基本的な流れとしては以下です。
基本的には、日本政策金融公庫を申し込んでいただき、それが出来れば提携融資を申し込みます。提携融資が出来ないケースでも、公庫から借りることができたら、その足で創業融資に積極的な金融機関に行き、少額の創業融資を申し込みます。公庫の融資実績があれば、民間金融機関も貸しやすいからです。
そうやって、結果的に創業融資をネタに、民間金融機関との融資取引をはじめることができます。それが、1年後に待っている運転資金の不足の際の融資を引き出す関係性を作るきっかけになってくるのです。
士業やコンサルタントの融資支援サポートを受ける場合も、最初の公庫や民間金融機関の創業融資だけではなく、将来の取引関係構築を想定しているサポートを受けるべきだと思います。
補足:複数の金融機関と付き合う
会社の状況にもよりますが、複数の金融機関と付き合うのも以下の観点から有効です。
1.リスクヘッジ
金融機関の担当者は正直辺り外れもあります。担当者だけではなく、上席者とのパイプを形成しておくということも大事ですが、複数の金融機関と取引がある場合はリスクヘッジになります。
2.金融機関との交渉を有利に進める
金融機関内部での各支店の業績評価が最も悪くなるのは、「他行への借り換え」です。これをされると、査定が大幅に悪化します。そのため、複数の金融機関と取引することで、金融機関との話を有利に進めることができます。